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国税庁e-Taxで他人の贈与税申告書が閲覧可能に(79人分):見えた情報と、e-Tax利用者・開発者がやること

国税庁は2026年10月2日、e-Taxのマイページで9月24〜25日、79人分の贈与税申告書などが本人以外から見られる状態だったと発表しました。原因は改修時の不具合で、外部からの攻撃ではありません。対象者への連絡、利用者が気をつけること、開発者への教訓を整理します。

公開日 2026-10-06 更新日 2026-10-06 最終確認 2026-10-06 16分で読める

対象:e-Taxで贈与税の申告をした人や、贈与をした人、申告を担当した税理士。e-Taxのマイページを使っている人。そして、ログインして自分のデータを見るWebサービスを作る開発者。本記事は国税庁の発表を伝えた報道と、国税庁・e-Taxの公式案内にもとづく解説で、不具合の再現方法は扱いません。

自分が対象かの早見表

内容(国税庁の発表を伝えた報道から)
対象のサービスe-Taxのマイページの「贈与税関係情報」
他人に見える状態だった期間2026年9月24日8時30分〜25日0時、25日4時〜15時58分
見える状態だった申告書79人分の贈与税申告書など
個人情報を見られた可能性がある人計203人(申告者、申告書に記載された贈与者、税理士)
実際に閲覧した可能性がある利用者19人
見えた可能性がある情報氏名・住所・生年月日・電話番号、贈与財産の額や贈与税額、贈与者の氏名・生年月日、税理士の名前など
対象者への連絡国税局や税務署の職員が個別に連絡し、説明と謝罪
原因9月24日の改修で生じた不具合(外部からの攻撃ではない)。解消済み

対象は、79人分の贈与税申告書などと、その申告書に名前が書かれた贈与者・税理士です。e-Taxを使う人全員が対象になったわけではありません。

マイナンバー(個人番号)が見える情報に含まれていたかは、確認できた報道では触れられていません。本記事では、含まれていたとも含まれていなかったとも書きません。

e-Tax利用者が今日やること

1

税務署を名乗る電話は、一度切ってかけ直す

報道によれば、対象者には国税局や税務署の職員が個別に連絡しています。一方、ニュースになった事案は、それに便乗した偽の電話の口実にもなります。

国税庁は、税務職員を名乗る電話で不審に思ったら、即答せず、相手の所属・氏名・電話番号を確かめて一度電話を切り、最寄りの税務署の総務課か国税局の納税者支援調整官に問い合わせるよう案内しています。かけ直す番号は、相手が伝えた番号ではなく、国税庁のWebサイトの「税務署の所在地などを知りたい方」で調べます。

2

国税庁を名乗るSMS・メールのURLは開かない

国税庁は、SMSにURLを記載した案内を送ることはなく、国税の納付の求めや差押えについてSMS・メール・LINEでメッセージを送ることもないと案内しています。

「申告書の閲覧に関するお詫び」「個人情報の確認」などをうたうSMSが届いても、リンクは開かずに削除して構いません(手口の見分け方は フィッシングとは)。

3

e-Taxのメールは、決まった形だけと覚えておく

国税庁によれば、e-Taxが送るメールは、メッセージボックスにお知らせが届いたときの決まった形のものだけです。ファイルを添付することはなく、原則として本文にURLも書いていません。

お知らせの中身は、ブックマークや検索から自分で開いたe-Taxにログインして、メッセージボックスで確かめます。

4

ATMの操作や振り込み、口座番号の聞き取りには応じない

国税庁は、還付金の受け取りや納付のためにATMの操作を求めることはなく、納付のために口座を指定して振り込みを求めることもないとしています。

「お詫びの返金があります」「還付の手続きが必要です」と言われても、ATMに行ったり、口座番号や暗証番号を伝えたりしないでください。

利用者Aがログインし、マイページで「自分の贈与税関係情報」を開く

↓

① 認証:この人はだれか

ログイン済みの利用者A → 通過

② 認可:この書類はAのものか

ここが効かないと、他人の書類が表示される

↓

正しい動き

Aの書類だけを表示する

今回起きたこと

本人以外の申告書が見える状態に(79人分)

対策:Aとしてログインし、Bの書類を要求したら拒否されることを、改修のたびにテストで確かめる

今回の不具合を一般的な形で示した図。ログイン(認証)は通っても、表示するデータがその利用者のものかの確認(認可)が効かないと、他人のデータが表示される(e-Taxの具体的な実装や再現手順ではない)。

何が起きたか(国税庁の発表を伝えた報道から)

国税庁は2026年10月2日にこの事案を発表しました。2026年10月6日時点で、国税庁とe-TaxのWebサイトのお知らせ一覧には、この事案についての掲載は見当たりません。以下は、発表を伝えた複数の報道と、e-Taxの公式案内にもとづきます。

  1. 2026年5月27日

    e-Taxが、マイページの「贈与税関係情報」の機能を充実させると予告(公式のお知らせ)。
  2. 9月24日(木)

    マイページの「贈与税関係情報」に、修正申告・決定の通知、相続時精算課税の適用状況、書面で提出した申告書の提出状況などを加える改修。同じ日に、国税庁は国税システムを更改した。
  3. 9月24日8時30分〜25日0時

    報道によれば、本人以外の申告書などが見える状態(1回目)。
  4. 9月25日4時〜15時58分

    同じく見える状態(2回目)。
  5. 10月2日

    国税庁が発表。79人分の申告書などが本人以外から閲覧できる状態だったこと、不具合は解消済みであることを説明し、謝罪した。
79人分
本人以外から見える状態だった贈与税申告書など
203人
個人情報を見られた可能性がある人(贈与者・税理士を含む)
19人
実際に他人の申告書を閲覧した可能性がある利用者
確認されず
保存の形跡や二次被害(国税庁の説明)
国税庁の説明(報道から)
対象の機能
e-Taxのマイページの「贈与税関係情報」
原因
9月24日に、この機能を充実させるために行ったシステム改修で生じた不具合。外部からの攻撃ではない
見えた可能性がある情報
申告者の氏名・住所・生年月日・電話番号、贈与財産の額や贈与税額、贈与者の氏名・生年月日、担当税理士の名前など(報道によって挙げる項目に差がある)
対象者への対応
国税局や税務署の職員が、申告者・贈与者・税理士に個別に連絡し、説明と謝罪
閲覧した可能性がある人への対応
19人全員に、情報の秘密の保持と削除を依頼。保存の形跡や二次被害は確認されていない
今後
再発防止策を徹底するとしている
KSK2との関係
日経クロステックの報道によれば、新しい基幹システム(KSK2)とは関連がない

同じ時期のKSK2(新しい国税基幹システム)の影響について

国税庁は2026年9月24日に国税システムを更改したと公式に案内しています。日経クロステックによれば、新システム(KSK2)の影響で、国税庁は納税証明書の作成・交付に旧システムを使うよう指示し、職員が内容を確かめてから交付しているため、時間がかかっています。

e-Taxでも、インターネットバンキングで納税証明書の手数料を納付できない事象などが案内され、のちに解消したとされています。国税庁は、今回の贈与税申告書の件はKSK2とは関連がないとしています。

開発者への教訓:「表示を便利にする改修」でも、認可のテストを毎回回す

今回の問題は、外からの侵入ではありません。正規にログインした利用者の画面に、別の利用者のデータが表示された種類の問題です。セキュリティの分類では、アクセス制御(だれがどのデータを扱えるかの制御)の不備にあたります。

似た型に IDOR(安全でない直接オブジェクト参照) があります。要求するデータの番号などを変えるだけで、権限のない他人のデータにアクセスできてしまう不具合です。ログインの確認(認証)と、そのデータを扱ってよいかの確認(認可)の違いは 認証と認可の違い で解説しています。

英国の会社登記所で2026年3月に起きた Companies House WebFilingの不具合 も、システムの更新で入った不具合で、ログインした利用者に他社の非公開情報が見えた事案でした。今回の事案から加えたいのは、次の2点です。

当サイトの視点:機能を足す改修ほど、認可の確認が抜けやすい

今回の改修は、マイページに表示する情報の種類を増やすものでした。新しい情報を取ってくる処理が増えると、そのたびに「この情報はログイン中の人のものか」を確かめる処理も必要になります。表示を便利にする改修は、セキュリティの変更とは見なされにくく、確認が後回しになりがちです。

1)認可のテストを、機能のテストと同じ一式に入れて、改修のたびに自動で実行する。テスト用の利用者AとBを用意し、Aとしてログインした状態で、Bの書類の一覧・詳細・ダウンロードなど新しく足した画面と取得処理のすべてを要求し、拒否されるかAのデータだけが返ることを確かめます。機能のテストは「できるべきことができるか」を確かめますが、このテストは「できてはいけないことができないか」を確かめます。

2)閲覧の記録に「書類の持ち主」と「表示した人」を両方残し、食い違いを通知する。今回、国税庁は見える状態だった申告書の数(79人分)と、閲覧した可能性がある人の数(19人)を分けて公表しています。一般に、こうした特定には、だれがだれの書類を表示したかの記録が必要です。持ち主と表示した人が違う記録が出たら通知する仕組みにしておくと、改修の直後に問題に気づく手がかりになります。税理士が顧客の書類を見るような正当な代理の関係は、あらかじめ除外しておきます。

行政機関が持つ個人情報が外に出た他の事案と、市民にできることは 2026年の政府機関の個人情報漏えい にまとめています。

出典(公開記録)

本記事の事実関係は、以下の公開情報にもとづきます。国税庁の発表文そのものは、2026年10月6日時点で国税庁・e-TaxのWebサイトに見当たらなかったため、発表を伝えた報道を出典としています。不具合の詳しい仕組みは公表されておらず、推測していません。

  • 日経クロステック「国税庁e-Taxで79人分の申告書を他人が閲覧した可能性、KSK2とは別の不具合」(2026年10月5日) — xtech.nikkei.com
  • 日本経済新聞「79人分贈与税申告書表示か e-Tax、改修不具合で」(2026年10月2日) — nikkei.com
  • テレビ朝日系(ANN)「『e-Tax』で他人の贈与税情報が一時閲覧可能に 国税庁」(2026年10月2日) — news.yahoo.co.jp
  • 税のしるべ「国税庁がe-Taxマイページで本人以外の贈与税申告情報が閲覧できた事象を公表」(2026年10月2日) — shirube.zaikyo.or.jp
  • e-Tax「マイページの『贈与税関係情報』が更に便利になります。」(2026年5月27日、9月24日更新) — e-tax.nta.go.jp
  • 国税庁「国税システムの更改について」 — nta.go.jp
  • e-Tax「【解消】インターネットバンキングで手数料納付ができない事象について」(2026年9月29日、10月5日更新) — e-tax.nta.go.jp
  • 国税庁「不審なメールや電話にご注意ください」 — nta.go.jp

更新履歴

2026-10-06:初版。国税庁の10月2日の発表を伝えた報道(日経クロステック、日本経済新聞、テレビ朝日系、税のしるべ)と、国税庁・e-Taxの公式案内にもとづく。国税庁が発表文をWebサイトに掲載した場合や、見えた情報の項目が公式に示された場合は更新します。

次に読む

よくある質問

Qe-Taxの不具合で、どんな情報が他人に見えた可能性がありますか?
A

国税庁の2026年10月2日の発表を伝えた報道によれば、見えた可能性があるのは贈与税の申告書などに書かれた情報です。申告した人の氏名・住所・生年月日・電話番号、贈与を受けた財産の額や贈与税額のほか、贈与した人(贈与者)の氏名・生年月日、担当した税理士の名前などが含まれます。マイナンバー(個人番号)が含まれていたかは、報道では触れられていません。

Q何人が影響を受けましたか?
A

報道によれば、本人以外から閲覧できる状態だった申告書は79人分です。申告書に記載された贈与者や税理士を含めると、個人情報を見られた可能性があるのは計203人です。実際に他人の申告書を閲覧した可能性がある利用者は19人とされています。

Q自分が対象かどうか、どうすれば分かりますか?
A

報道によれば、国税局や税務署の職員が、個人情報を見られた可能性のある申告者、申告書に記載された贈与者、税理士に個別に連絡し、説明と謝罪をしています。この件で自分から何かを申請する手続きは、報道では示されていません。税務署を名乗る連絡が本物か不安なときは、一度切って、国税庁のWebサイトで調べた税務署の番号にかけ直してください。

Qハッキングやサイバー攻撃だったのですか?
A

報道によれば、国税庁は原因を、9月24日にe-Taxマイページの「贈与税関係情報」の機能を充実させるために行ったシステム改修で生じた不具合と説明しています。外部からの不正アクセスではなく、正規にログインした利用者の画面に他人の情報が表示された問題です。不具合は解消済みとしています。

Q見られた情報が悪用される心配はありますか?
A

報道によれば、国税庁は閲覧した可能性のある19人全員に、情報の秘密を守ることと削除を依頼し、保存した形跡や二次被害は確認されていないとしています。ただ、税務署や国税庁を名乗る偽の電話・SMSは事件と関係なく日常的にあります。国税庁は、SMSにURLを記載した案内を送ることはなく、納付の求めや差押えに関してSMSやメールを送ることはないと案内しています。

QKSK2(新しい国税基幹システム)の不具合と関係がありますか?
A

日経クロステックの報道によれば、国税庁は今回のe-Taxの不具合とKSK2との関連はないとしています。国税庁は2026年9月24日に国税システムを更改しており、同じ時期に納税証明書の交付に時間がかかるなどの影響が報じられていますが、それとは別の不具合です。