対象:Conductor(conductor-oss、Orkes Conductorとも呼ばれる)を自社のサーバーやコンテナで動かしているチーム。AIエージェントのワークフローに使っている場合も含みます。本記事はCVEの記録、NVD、プロジェクトのリリースノート、米CISAのKEV一覧、セキュリティ企業の注意喚起にもとづく解説で、攻撃の手順や攻撃コードは載せません。
続報待ち:この記事は公式発表に合わせて更新します
- 対象者
Conductor(conductor-oss、Orkes Conductorとも呼ばれる)を自社のサーバーやコンテナで動かしているチーム。AIエージェントのワークフローに使っている場合も含みます。
- 影響が確認された範囲表で見る ↓
- 対象の版と修正版
- 認証が不要
- 実際の攻撃の試み
- 未確認事項
- 攻撃の試みが、確認された侵害につながったか
- プロジェクトまたはOrkesのセキュリティ勧告・説明
- Orkesのホスト型・企業向けの提供が対象か
さらに2件
- NVD自身の分析(状態はDeferred)
- 米CISAがKEVに追加するか
- 今やること手順を見る ↓
- Conductorのサーバーと版を洗い出す
- 3.30.2以降に上げる
- ワークフローAPIをインターネットから見えないようにする
さらに1件
- 対象の版が外から届いていたなら、侵害の可能性がある前提で点検する
- 確認先(出典)出典の一覧 ↓
- NVD「CVE-2026-58138」
- 最終確認日時
- 2026年10月31日(日本時間)時点
発表の続報予定と確認の記録
CVEの記録と修正版は公開済みです。セキュリティ企業の数字は9月のものです。10月31日に、NVD、GitHubのリリース、プロジェクトのセキュリティ勧告の一覧、米CISAのKEV一覧を確認しました。
今日やること
Conductorのサーバーと版を洗い出す
コンテナイメージ、Helmチャート、Composeファイル、ビルドファイルからConductorのサーバーを探し、版のタグを控えます。対象は3.21.21から3.30.2より前です。AIエージェントの検証用に立てた、試験・ステージング・試作のサーバーも忘れないでください。
3.30.2以降に上げる
修正は3.30.2に入っています。10月31日時点の最新の安定版は3.33.0(10月26日)です。今日上げられないなら、上げられるまでサーバーをインターネットから外します。
ワークフローAPIをインターネットから見えないようにする
セキュリティ企業は、ワークフローAPIの公開範囲を絞るよう勧めています。サーバーを社内のネットワークに置き、必要なシステムからだけ届くようにし、手前で認証を求めます(リバースプロキシやAPIゲートウェイなど)。更新はこの脆弱性を直し、公開範囲を絞れば次の脆弱性の影響も小さくできます。
対象の版が外から届いていたなら、侵害の可能性がある前提で点検する
セキュリティ企業によると、攻撃の試みは9月上旬に数えられており、攻撃コードは8月に公開されています。一般的な点検として(当サイトの提案)、チームの誰も作っていないワークフロー定義、Conductorのサーバーが起動した見慣れないプロセス、普段と違う外向きの通信、ホスト上の新しいファイルや定期実行の設定を探します。
サーバーが読める認証情報(データベース、キュー、AIサービスのAPIキーなど)は作り直します。説明のつかないものが見つかったら、その場で掃除するのではなく、きれいなイメージからホストを作り直します。
公表された内容
- 製品
- Conductor。アプリケーションとAIエージェントのためのオープンソースのワークフローエンジン(conductor-oss/conductor。CVEの記録では「Orkes Conductor」)
- 種類
- コードインジェクション(CWE-94)。JavaScriptとPythonのスクリプト評価機能が隔離されておらず、送られたワークフロー定義の式からOSに届いた
- 認証
- 不要(CVEの記録)
- 深刻度
- CVSS v3.1で9.8、v4.0で9.3(CVE番号を割り当てた機関であるセキュリティ企業の評価)
- 対象
- 3.21.21から3.30.2より前
- 修正版
- 3.30.2(2026年6月3日リリース)
- 悪用
- ネットワークセキュリティ企業が、遮断した攻撃の試みを報告(24時間に1,290件、7日間で6,696件、2026年9月)。侵害の確認は公表されていない
- NVD・KEV
- NVDの状態はDeferred(最終更新10月25日)。10月31日時点で米CISAのKEVに未掲載
1. 版を洗い出す
3.21.21〜3.30.1が対象
2. 更新して公開範囲を絞る
3.30.2以降。APIは社内ネットワークに
3. 外から届いていたサーバーを点検
見覚えのない定義・プロセス・通信。鍵を作り直す
時系列
2026年5月22日
「Restrict graaljs further」(JavaScriptエンジンの制限を強める)という変更がプロジェクトに取り込まれる。6月3日
その変更を含むリリース3.30.2が出る。リリースノートにセキュリティの修正やCVEの記載はない。6月30日
CVE-2026-58138が公開され、修正版は3.30.2とされる。8月9日
セキュリティ企業の注意喚起によると、攻撃コードが公開される。9月9日
セキュリティ企業が、24時間に1,290件(1日あたり132%増)、7日間で6,696件の攻撃の試みを遮断したと報告。9月15日
同社が注意喚起を出し、3.30.2以降への更新を勧める。のちにセキュリティ報道が、1週間に約7,000件の試みと伝える。10月31日
米CISAのKEVに未掲載。NVDの状態はDeferred。
分かっていること・分かっていないこと
| 項目 | 出典の内容 | 状態 |
|---|---|---|
| 対象の版と修正版 | 3.21.21から3.30.2より前。3.30.2で修正 | 確定(CVEの記録) |
| 認証が不要 | CVEの記録に明記 | 確定(CVEの記録) |
| 実際の攻撃の試み | セキュリティ企業が遮断した試みを数えた | 確認済み(セキュリティ企業) |
| 侵害の成功例 | 確認した出典に公表なし | 記載なし |
| プロジェクト・Orkesの勧告や説明 | GitHubに見当たらず、リリースノートのみ | 記載なし |
| Orkesのホスト型・企業向けの提供 | CVEの記録の対象外 | 記載なし |
| 米CISAのKEV | 10月31日時点で未掲載 | 記載なし |
| NVDの分析 | 状態はDeferred | 記載なし |
見落とされやすかった理由
3つの条件が重なっています。修正がセキュリティの表示なしで出たので、勧告だけを追うチームには動くきっかけがありませんでした。次に、CVEはNVDでDeferred(分析の保留)となり、KEVにも載っていないので、その2つで並べる管理画面では低く見えます。さらに、AIエージェントの企画のために立てたワークフローエンジンは、ふだんの更新管理の一覧から漏れがちです。
これはMetabaseの脆弱性による侵害と同じ教訓です。多くの認証情報を持つ社内向けのツールがインターネットから届き、ログインなしで悪用されました。脆弱性の優先順位をKEVに頼っているなら、開発元やセキュリティ企業の「悪用あり」の報告も判断のきっかけに加えてください(どのCVEから直すかの決め方)。
出典
2026年10月31日(日本時間)に確認。
- NVD「CVE-2026-58138」 — nvd.nist.gov
- conductor-oss/conductor「v3.30.2」リリース(2026年6月3日) — github.com
- CVE番号を割り当てた機関(セキュリティ企業)の勧告 — vulncheck.com
- セキュリティ企業の脅威レポート(2026年9月9日) — fortiguard.com
- セキュリティ企業の注意喚起(2026年9月15日) — fortiguard.com
- 米CISA「Known Exploited Vulnerabilities Catalog」(10月31日に確認、未掲載) — cisa.gov
- セキュリティ報道(2026年9月22日) — esecurityplanet.com
更新履歴
2026-10-31:初版。NVD、プロジェクトのリリースノート、米CISAのKEV一覧、セキュリティ企業の注意喚起にもとづく。
次に読む
- 似た事例:Metabaseの脆弱性による侵害
- 優先順位:どのCVEから直すか(CVSS・EPSS・KEV)
- 対応の手順:脆弱性対応の手順書
- 用語:リモートコード実行(RCE)とは/CVSSとは
- AIを使った攻撃:AIを使ったサイバー攻撃への備え