対象:Windows向けバックアップソフト「AOMEI Backupper」を家庭や職場で使っている人・組織と、それが入ったPCを管理する情報システム担当者。本記事はAOMEIの公式の声明にもとづく解説で、攻撃手順、マルウェアの中身、侵害の痕跡(IoC)の値は扱いません。
続報待ち:この記事は公式発表に合わせて更新します
- 対象者
Windows向けバックアップソフト「AOMEI Backupper」を家庭や職場で使っている人・組織と、それが入ったPCを管理する情報システム担当者。
- 影響が確認された範囲表で見る ↓
- 更新サーバーの設定ファイルの改ざん
- 判明した3回の時間帯
- 8.5.1の公開
さらに1件
- サーバーの対策と移行
可能性があるとされた項目
- 書き換えられた設定を受け取った端末
- Windowsの認証に関わる情報
- 未確認事項
- 対象の利用者・端末の数
- 対象の版とエディション
- 判明した3回のほかに改ざんの時間帯があったか
さらに1件
- Windowsの認証情報が実際に漏れたか
- 今やること手順を見る ↓
- AOMEI Security Scannerで検査する(公式の声明ページから入手)
- AOMEI Backupper 8.5.1に更新する
- セキュリティソフトを最新にして、全体を検査する
さらに2件
- Windowsアカウント(ドメインアカウント)のパスワードを変える
- 何か見つかったら同社に相談し、最近のバックアップをそのまま戻さない
- 確認先(出典)出典の一覧 ↓
- AOMEI「Statement on Ephemeral Tampering with the AOMEI Backupper Update Server」(2026年10月19日公開、10月30日最終更新、英語)
- 最終確認日時
- 2026年10月31日時点
発表の続報予定と確認の記録
声明には「調査結果と推奨事項は、調査の進展に応じて更新される場合があります」とあります(英文からの訳)。10月31日に確認した時点で、ページの表示は「Last Updated on October 30, 2026」でした。
AOMEI Backupperの利用者が今日やること
AOMEI Security Scannerで検査する(公式の声明ページから入手)
同社の最初の手順は、検査ツールAOMEI Security ScannerでPCを調べることです。本件に関する現時点で分かっている痕跡を確かめます。同社は、8.5.1への更新はこの確認の代わりにならないとしています。
同社の声明ページ(下の出典)を自分で開き、そこにあるリンクから入手してください。メールや検索広告のリンクは使いません。声明にはツールのデジタル署名の名義とSHA-256の値が載っていて、ツールの更新で変わることがあるとされているので、ダウンロードした日のページの値と照らし合わせます。
AOMEI Backupper 8.5.1に更新する
同社は2026年10月19日に8.5.1を公開し、これまでに見つかった問題に対処し、安全のための仕組みを足したとしています。それより前の版なら、同社のダウンロードページ(www.aomeitech.com/download.html)からできるだけ早く更新してください。版はソフトの「バージョン情報」の画面で確かめられます。
同社は今回使われたソフト内の更新の仕組みを止めているので、ソフトの更新通知を待たずに自分で入手します。
セキュリティソフトを最新にして、全体を検査する
同社は、最初の2つの手順のあとも端末のほかの危険は否定できないとしています。入っているセキュリティソフトを最新にして検査するよう勧め、結果がはっきりしない場合は、公式の配布元から入手した信頼できる無料の検査ソフトで2回目の検査をするよう勧めています(声明では製品名を挙げている)。
Windowsアカウント(ドメインアカウント)のパスワードを変える
同社は、一部の端末にWindowsの認証に関わる情報が漏れる危険があった可能性があるとし、漏えいは確認されていないとも書いています。そのPCで使うWindowsアカウントまたはドメインアカウントのパスワードを変え、同じパスワードを使うほかの端末でも変えるよう勧めています。Windows HelloのPINだけを変えても足りません。
検査で何か見つかったなら、パスワードは別の安全な端末から変えてください。感染したPCで入力したパスワードは、また盗まれることがあります。
何か見つかったら同社に相談し、最近のバックアップをそのまま戻さない
同社は、声明ページに載っている本件の専用窓口で、遠隔での支援を含む技術的な支援をするとしています。何か検出された場合は、2026年5月28日より後に作ったバックアップを戻す前に確かめてください。感染した状態のシステムのバックアップを戻すと、問題も戻ることがあります(参考:バックアップと復旧の基本)。
何が起きたのか(AOMEIの声明より)
以下は、AOMEIが2026年10月19日に公開し、10月30日に最終更新した声明にもとづきます。声明は、セキュリティ企業の脅威調査チームによる調査報告(10月16日公開)を引用しています。
2026年4〜7月
調査報告によれば、AOMEI Backupperの更新サーバーの設定ファイルが数分ずつ書き換えられ、元に戻されることが繰り返される。5月28日 05:40〜05:50(UTC)
判明した1回目の時間帯(10分間)。7月16日 08:33〜08:39(UTC)
2回目の時間帯(6分間)。7月20日 10:35〜10:40(UTC)
3回目の時間帯(5分間)。7月29日まで
通知を受けたAOMEIが更新サーバーの対策を行う。調査した研究者は、その後の監視の範囲で関連する活動を観測していないとしている。8月5日
更新サービスを、対策を強めた新しいサーバーへ移す。10月19日
AOMEIが声明を公開し、AOMEI Backupper 8.5.1を公開。10月30日
声明の最終更新。
日本時間では、5月28日 14:40〜14:50、7月16日 17:33〜17:39、7月20日 19:35〜19:40です。
ほとんどの時間
更新サーバーは正しい設定を返していた
改ざんの時間帯
更新を確かめたPCが、不正なファイルを指す設定を受け取りえた
その後
ファイルは元に戻され、後からサーバーを調べても異常は見えなかった
サーバーを直しても、すでに何かを受け取ったPCはきれいになりません。だから同社は、利用者に自分の端末の検査を求めています。
- 何が起きたか
- 2026年4〜7月、AOMEI Backupperの更新サーバーの設定ファイルが短時間ずつ改ざんされた。1回の書き換えは約5〜10分
- 起きえたこと
- その間、書き換えられた設定によってソフトが不正なファイルをダウンロードする可能性があった
- 判明した時間帯
- 2026年5月28日・7月16日・7月20日(UTC)。対象の利用者の範囲は調査中
- ソフト側の対策
- 今回使われたソフト内の更新の仕組みを停止。遠隔の設定ファイルに暗号化と署名の検証を追加し、検証に失敗したファイルは受け付けない
- サーバー側の対策
- 古い更新サーバーを停止し、新しいサーバーへ移行。8.5.1でソフトの更新と宣伝の通知を分離。監視を強化
- 利用者に求めること
- AOMEI Security Scannerでの検査、8.5.1への更新、セキュリティソフトでの検査、Windowsアカウント(ドメインアカウント)のパスワード変更
分かっていること・分かっていないこと
2026年10月31日時点の状態です。続報が出たら状態欄を更新します。
| 項目 | 声明の内容 | 状態 |
|---|---|---|
| 更新サーバーの設定ファイルの改ざん | 2026年4〜7月に短時間の書き換えが繰り返された | 確定(調査報告、同社が引用) |
| 判明した3回の時間帯 | 2026年5月28日・7月16日・7月20日(UTC) | 確定(同社) |
| 書き換えられた設定を受け取った端末 | 危険があった可能性がある | 可能性(同社) |
| Windowsの認証に関わる情報 | 一部の端末で漏れる危険があった可能性。確認はされていない | 可能性(同社) |
| 8.5.1の公開 | 2026年10月19日 | 確定(同社) |
| サーバーの対策と移行 | 7月29日までに対策、8月5日に新しいサーバーへ | 確定(同社) |
| 対象の版・エディション | 一覧はない。8.5.1より前の版の利用者に更新を勧める | 記載なし |
| 対象の利用者・端末の数 | 記載なし。判断を続けている | 調査中 |
| 3回のほかの時間帯 | 調査報告は、観測されていない時間帯もおそらくあったとしている | 調査中 |
| 同社のほかの製品 | 調査報告は、同社のリモートデスクトップ製品も同じ更新の仕組みを使うと記載。同社の声明はAOMEI Backupperだけに言及 | 記載なし |
| バックアップのイメージ・ファイル | 記載がない | 記載なし |
読み方:「記載なし」は「対象外」ではない
同社は対象の版を公表しておらず、全利用者に4つの手順を求めています。一覧に自分の版が無いから対象外、とは言えません。一覧そのものがまだ無いためです。
改ざんされた更新で何が起きうるか
一般に、ソフトの更新を通じて届いた不正なファイルは、次のようなことをしえます。今回これがすべて起きたという意味ではありません。
- 更新を行うプログラムと同じ権限で動く(バックアップソフトでは管理者に近い権限のことが多い)
- 再起動後もまた動く仕組みを残し、元のプログラムを消すだけでは取り除けない
- PCを遠隔で操作できるようにし、そこから共有フォルダーや同じネットワークのほかのPCに広がる
- パスワードや認証の情報を盗む(同社がWindowsのパスワード変更を求める理由)
調査報告は、今回届いたファイルに、別のファイルを取り込むプログラムや遠隔操作のためのバックドアが含まれていたとしています。Webの側の似た事案:Rank Math PRO 3.0.123へのマルウェア混入では、有料プラグインの更新に約11時間マルウェアが含まれていました。
情報システム担当者が見直すこと:複数のPCでの確認
以下は、同社の声明と調査報告から言える防御側の確認です。AOMEIの対応を評価するものではありません。
- AOMEI Backupperが入ったPCをすべて洗い出す。 ソフトの資産管理や端末管理の仕組みで、版と、3回の時間帯に電源が入っていたかを確かめます。
- 今日だけでなく、2026年4〜7月にさかのぼって調べる。 調査報告は、サーバーを直してもすでにダウンロードした端末はきれいにならないこと、今ベンダーのサーバーを調べても正常なファイルしか見えないことを指摘しています。対象のPCで、タスクスケジューラの登録と、更新プログラムから起動された新しいプログラムを確かめます。
- 社外へのファイル共有の通信(SMB・WebDAV)をファイアウォールで止める。 調査報告が勧めている対策で、Windowsの認証の情報が外に送られるよくある経路も狭まります。
- 対象のPCを使う人のドメインのパスワードを変える(同社の勧めに沿う)。あわせて、そのアカウントのサインインの記録を確かめます。
出典(公開情報)
本記事の事実は以下の公開情報にもとづきます。マルウェアの詳しい動作とIoCの値は載せていません。公式の声明と報告で確認してください。
- AOMEI「Statement on Ephemeral Tampering with the AOMEI Backupper Update Server」(2026年10月19日公開、10月30日最終更新、英語) — aomeitech.com
- AOMEI、AOMEI Backupperのダウンロードページ — aomeitech.com
- セキュリティ企業の脅威調査チーム、同社の声明が引用する調査報告(2026年10月16日、英語) — cloud.google.com
更新履歴
2026-10-31:初版。AOMEIの声明(10月19日公開、10月30日最終更新)と、声明が引用する調査報告にもとづく。同社が続報を出したら本記事を更新します。
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- 用語:バックドアとは / マルウェアとは
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