対象:日本経済新聞社や日経ナショナル ジオグラフィックのサービスに登録している人、開発用のクラウド環境を管理している人。本記事は株式会社日本経済新聞社と株式会社日経ナショナル ジオグラフィックの公式発表にもとづく解説で、攻撃手順は扱いません。
続報待ち:この記事は公式発表に合わせて更新します
2026年10月24日時点まだ分かっていないこと
- どのサービスの利用者が対象か
- 項目ごとの件数(住所・電話番号・生年月日)と人数
- 認証情報が盗まれた手段
- 不正アクセスに気づいたきっかけ
- 個別の連絡の方法と時期
- 侵害の範囲の精査結果
同社は、侵害を受けた範囲や漏洩した個人情報を精査しているとし、被害状況の把握や原因究明を急ぐとしています。続報の時期は書かれていません。
10月24日時点で、同社のお知らせ一覧に本件の続報はなく、10月23日に問い合わせフォームの変更(予防的な対応)が知らされています。
日経のサービスを使っている人が今日やること
日経やグループ会社を名乗るメールのリンクを開かない
約12万件はメールアドレスを含み、一部は氏名・住所・電話番号・生年月日も含みます。一般に、漏れた連絡先には、社名を名乗り、本人の氏名を書いた偽の連絡が届きやすくなります。今回の発表に偽の連絡への注意は書かれていませんが、念のための備えです。
「お詫び」「補償」「アカウントの確認」といった件名(当サイトの例)でも、本文のリンクからログインしないでください。公式サイトは、ブックマークや自分で検索して開きます。見分け方は フィッシングとは にまとめています。
個別のお知らせが届いたら、発表ページと照らし合わせる
同社は、個人情報の漏洩が確認された人には個別に知らせるとしています。方法と時期は書かれていません。
お知らせが届いたら、書かれている内容を、自分で開いた日本経済新聞社の発表ページと照らし合わせてください。お知らせの中のリンクから個人情報やカード番号を入力するよう求められたら、手を止めて問い合わせフォームで確かめます。
電話で個人情報を聞かれても答えない
漏洩した情報には電話番号を含むものもあります。日経やグループ会社を名乗る電話で、住所や生年月日の確認、カード番号、パスワードを求められても答えず、いったん切ってください。
かけ直すときは、相手が伝えた番号ではなく、公式サイトで確かめた窓口を使います。
分からなければ、問い合わせフォームで確かめる
同社は、本件の問い合わせ先として問い合わせフォームを案内しています。発表ページから開いてください。同社は10月23日、プログラミング言語PHPに深刻な脆弱性が見つかったことを受けた予防的な対応として、フォームを一時的に変更したと知らせています。
日経ナショナル ジオグラフィックも、本件の問い合わせ先は日本経済新聞社だとしています。
何が起きたのか(日本経済新聞社の発表より)
株式会社日本経済新聞社は、2026年10月16日に「不正アクセスによる個人情報漏洩について」を公表しました。以下はすべて同社と日経ナショナル ジオグラフィックの発表にもとづきます。
2026年10月7日 未明〜朝
同社によれば、システム開発に利用するクラウドサービスが、窃取された認証情報で不正アクセスを受け、クラウド上に保管していた個人情報が漏洩した。10月11日
個人情報保護委員会に報告した。10月16日
発表を公表。16日時点で約183万件の個人情報が漏洩し、二次被害やシステムの異常は確認されていないとした。10月17日
日経ナショナル ジオグラフィックが、自社サービスの利用者の情報も一部含まれている可能性があると公表した。10月22日
日経ナショナル ジオグラフィックが、自社サービスの一部の利用者の情報が含まれていたと公表した。大半は識別子のみで、氏名・メールアドレス・住所・電話番号・生年月日のいずれかを含むものもあったとしている。10月23日
日本経済新聞社が、問い合わせフォームを一時的に変更したと知らせた(PHPの脆弱性を受けた予防的な対応)。
同社が不正アクセスにいつ、どのように気づいたかは書かれていません。
- 組織
- 株式会社日本経済新聞社
- 不正アクセスを受けたもの
- 同社がシステム開発に利用するクラウドサービス(サービス名は公表されていない)
- 漏洩した情報
- 16日時点で約183万件。氏名、メールアドレス、住所、電話番号、生年月日のいずれかを含む個人情報が約15万件(うちメールアドレスを含むのが約12万件)。単体では個人を特定できない識別子のみが約168万件
- 含まれないもの
- クレジットカード情報
- 原因
- クラウドサービスにアクセスするための認証情報が、何らかの手段で窃取された。盗まれた手段は公表されていない
- 対応
- 不正アクセスに使われた認証情報を無効にした。侵害の範囲と漏洩した個人情報を精査中
- 報告
- 個人情報保護委員会(10月11日)
- 二次被害・異常
- 悪用などの二次被害や、システム停止・データ改ざんなどの異常は16日時点で確認されていない
- 対象者への連絡
- 漏洩が確認された人に個別に知らせる(方法と時期は書かれていない)
- グループ会社
- 日経ナショナル ジオグラフィックの一部の利用者の情報が含まれていた(同社、10月22日)
漏洩した個人情報:約183万件(16日時点)
システム開発に利用するクラウドサービスに保管されていた
約15万件
氏名・メールアドレス・住所・電話番号・生年月日のいずれかを含む。うちメールアドレスを含むのが約12万件
約168万件
単体では個人を特定できない識別子のみ
↓ 読者の行動につながるのは主に約15万件の側
社名を名乗るメール・電話は、公式サイトで確かめる
クレジットカード情報は含まれていない(同社)
分かっていること・分かっていないこと
2026年10月24日時点の状態です。続報が出たら、この表の状態欄を書き換えます。
| 項目 | 発表の内容 | 状態 |
|---|---|---|
| 不正アクセスの日時 | 10月7日未明から朝にかけて | 確定(同社) |
| 漏洩の件数 | 16日時点で約183万件 | 漏えいを確認(同社) |
| 氏名・メールアドレス・住所・電話番号・生年月日 | いずれかを含むものが約15万件。うちメールアドレスを含むのが約12万件。項目ごとの件数は書かれていない | 漏えいを確認(同社) |
| 識別子のみのもの | 約168万件。単体では個人を特定できない | 漏えいを確認(同社) |
| クレジットカード情報 | 含まれていない | 含まれない(同社) |
| パスワード | 漏洩した項目に挙げられていない | 記載なし |
| 対象のサービス | どのサービスの利用者かは書かれていない。日経ナショナル ジオグラフィックの一部の利用者は含まれていた | 記載なし/確定(日経ナショナル ジオグラフィック) |
| 件数が何人にあたるか | 件数で示され、人数は書かれていない | 記載なし |
| 原因 | クラウドサービスの認証情報が何らかの手段で窃取された。手段は書かれていない | 公表(同社)・詳細は調査中 |
| 侵害の範囲 | 精査している | 調査中 |
| 二次被害・システムの異常 | 16日時点で確認されていない | 確認されていない(同社) |
| 個人情報保護委員会への報告 | 10月11日 | 確定(同社) |
| 対象者への連絡 | 漏洩が確認された人に個別に知らせる | 予定(同社) |
読み方の注意:183万件は人数ではない
約183万件は件数で、人数としては発表されていません。そのうち約168万件は、単体では個人を特定できない識別子のみです。氏名やメールアドレスなどを含むのは約15万件です。
漏れた項目の組み合わせで何が起きうるか
以下は一般に起きうることで、今回すでに起きたという意味ではありません。同社は16日時点で二次被害は確認されていないとしています。
漏洩したと発表された項目
- 氏名、メールアドレス、住所、電話番号、生年月日のいずれか(約15万件)
- 単体では個人を特定できない識別子(約168万件)
含まれない・記載がないもの
- クレジットカード情報(含まれない)
- パスワード(漏洩した項目に記載なし)
氏名とメールアドレスがそろうと、本人の名前を書いた偽のメールを作れます。名前が合っていると本物らしく見えますが、本物の証拠にはなりません。住所や電話番号まで含む場合は、郵便や電話での連絡を装うこともできます。
同社は10月4日に別件として、社員が業務で使うクラウドの業務ソフトのアカウントに第三者が不正にログインしたとみられ、社内や取材先などに悪性サイトへ誘導するメールが約9,000件送られたと公表しています。このとき同社は、同社やグループ会社の関係者を装うメールが増える可能性があると注意を呼びかけました。今回の事案との関係は書かれていませんが、日経の本物のアドレスから届いたように見えるメールでも、リンクは慎重に扱ってください。
同じくメールアドレスが中心の事案に、2026年10月の カプコンのCAPCOM IDへの不正アクセス と ローソンIDへの不正アクセス があります。原因や対象の範囲は事案ごとに違うため、今回も同じとは限りません。
開発用のクラウド環境を管理している人へ
発表は、不正アクセスを受けた環境が本番用かテスト用か、なぜそこに個人情報があったか、どの種類の認証情報が使われたか、多要素認証を使っていたかを書いていません。以下は、これらを前提にしない一般的な確認点です。
同社が公表した原因は、開発に使うクラウドサービスの認証情報が盗まれたことです。盗まれた手段は公表されていないため、どう防ぐかは言い切れません。本節は同社の対応を評価するものではありません。
開発用の環境に、本物の個人情報を置いているか確かめる
発表によれば、不正アクセスを受けたのはシステム開発に利用するクラウドサービスで、そこに保管していた個人情報が漏洩しました。
自社の開発用の環境にある顧客データを棚卸しし、本物が要らない用途は、架空のデータや氏名・連絡先を消したデータに置き換えます。
クラウドの認証情報の寿命と範囲を短く、狭くする
同社によれば、不正アクセスには窃取された認証情報が使われました。その種類は書かれていません。
一般的な確認点として、有効期限のある一時的な認証に切り替える、使っていない認証情報を無効にする、1つの認証情報で読める範囲を必要なデータだけにする、の3点から始めます。漏れた認証情報が有効なまま残る問題は GitHubに公開された認証情報が今も有効だった調査、置き場所の基本は .envとAPIキーの基礎 にまとめています。
識別子と連絡先を、別の場所に分けて持つ
今回の約183万件のうち約168万件は、単体では個人を特定できない識別子のみだったと同社は書いています。
一般に、分析や開発で使うデータを識別子だけにして、氏名や連絡先と別の場所に置くと、片方が漏れたときに利用者への影響を小さくできます。認証情報が侵入口になる事案の傾向は 2026年の国内情報漏えいの侵入経路 で整理しています。
出典(公開記録)
本記事の事実関係は以下の公開情報にもとづきます。公表されていない認証情報の窃取手段や、対象のサービスは推測していません。
- 株式会社日本経済新聞社「不正アクセスによる個人情報漏洩について」(2026年10月16日、10月23日追記) — nikkei.co.jp
- 株式会社日本経済新聞社「情報漏洩などに関するお問い合わせフォーム変更のお知らせ」(2026年10月23日) — nikkei.co.jp
- 株式会社日経ナショナル ジオグラフィック「日本経済新聞社への不正アクセスに伴う当社サービス利用者情報に関するお知らせ」(2026年10月17日) — natgeo.nikkeibp.co.jp
- 株式会社日経ナショナル ジオグラフィック「日本経済新聞社への不正アクセスに伴う当社サービス利用者の個人情報の漏えいについて」(2026年10月22日) — natgeo.nikkeibp.co.jp
- 株式会社日本経済新聞社「サイバー攻撃による情報漏洩、不審メールの送信について」(2026年10月4日、別件) — nikkei.co.jp
- 株式会社日本経済新聞社「不正ログインによる情報漏洩について」(2026年10月4日、別件) — nikkei.co.jp
- 株式会社日本経済新聞社 お知らせ一覧(10月24日に確認) — nikkei.co.jp
更新履歴
2026-10-24:初版。日本経済新聞社の10月16日の発表(10月23日追記を含む)と10月23日のお知らせ、日経ナショナル ジオグラフィックの10月17日・22日のお知らせ(いずれも10月24日に確認)にもとづく。対象のサービスや原因の詳細が公表され次第更新します。
次に読む
- 同じ時期の事案:カプコンのCAPCOM IDへの不正アクセス / ローソンIDへの不正アクセス
- 偽の連絡への備え:フィッシングとは / 自分のアドレスから迷惑メールが届いたとき
- 認証情報が入口になる事案:2026年の国内情報漏えいの侵入経路 / GitHubに公開された認証情報が今も有効だった調査
- アカウントを守る:パスワードマネージャーの選び方 / 多要素認証の選び方
- 2026年の他の事案:情報漏えい・サイバー攻撃の一覧(国内・海外)