対策・学習14分で読める

Polymarketで取引停止、第三者提供のスクリプトが侵害:利用者とサイト運営者がやること

2026年10月29日、Polymarketは、同社サイトで使っていた第三者提供のスクリプトが侵害されたとして取引を停止しました。同社は影響を受けた利用者に補償すると説明しています。確定していること、報道が追跡した約250万ドル(公式の数字ではない)、利用者とサイト運営者がやることを整理します。

本文を読む
公開日
更新日
最終確認
目次

対象:Polymarketの利用者と、外部サービスのスクリプトを読み込むサイトを運営している人。本記事はPolymarketの公式ステータスページと報道にもとづく解説で、攻撃の手順は扱いません。

続報待ち:この記事は公式発表に合わせて更新します

2026年10月31日時点

まだ分かっていないこと

  • 公式の損失額
  • 影響を受けた利用者の数
  • 補償の方法
  • 提供元がどう侵害されたか

Polymarketのステータスページは10月29日にインシデントを解決済みとしています。当サイトが10月31日に確認した範囲では、続報は出ていません。報道によれば、提供元は自社の顧客に、そのスクリプトを外すよう案内しています。

利用者が今日やること

1

公式サイトで口座を確認する

メッセージのリンクではなく、自分でアドレスを入力してPolymarketを開き、10月29日前後のポジション、残高、履歴を確認してください。自分の操作と合わない点があれば、公式サイトに載っている窓口からPolymarketに連絡してください。

2

補償を名目にした連絡には応じない

Polymarketのステータスページは、影響を受けた利用者に補償するとしていますが、請求の手続きは示していません。こうしたときは詐欺が増えます。メール、ダイレクトメッセージ、返信のリンクを開かず、新しいサイトにウォレットを接続せず、「受け取り」のための署名もしないでください。公式サイトかステータスページの発表を待ってください。

3

復元用フレーズや秘密鍵は誰にも教えない

正規のサポートがそれらを必要とすることはありません。Polymarketの名前が出ていてもいなくても同じです(フィッシングとは)。

4

自分の置き方を見直すきっかけにする

当サイトは金融の助言はしません。一般論として、取引所に置く必要のない資金は別の場所のほうが安全で、運営が補償していても、次のログインを狙う詐欺のリスクはなくなりません。パスワードの使い回しは別のリスクです(パスワードが漏れたか確認する方法)。

何が起きたのか(Polymarketの発表と報道より)

公式の時刻はPolymarketのステータスページ(UTC表記)を米東部時間に直したものです。「報道」と付けた時刻は、セキュリティ調査会社の分析を伝える報道によるもので、Polymarketの発表ではありません。

  1. 2026年10月29日 午後1時50分〜1時56分 ET(報道)

    BleepingComputerが自らブロックチェーンの動きを調べたところ、攻撃者のものと疑われるウォレットから、予測市場のトークンの契約に関わる取引が、午後1時50分〜1時56分 ETにあった。
  2. 午後1時59分 ET(報道)

    報道は、セキュリティ調査会社の分析として、この時刻の本番ビルドで、第三者の監視サービスの組み込みが外されたと伝えている。
  3. 午後2時5分 ET(Polymarket)

    ステータスページ:調査のため、注文取消しのみのモードにし、リレイヤーの動作を停止した。
  4. 午後2時37分 ET(Polymarket)

    ステータスページ:問題を特定して修正した。第三者の提供元が侵害された。法執行機関に通報した。影響を受けた人は損失を埋め合わせる(made whole)。念のため(out of an abundance of caution)取引を一時停止した。
  5. 午後3時ごろ ET(Polymarket)

    再開の見込みとされ、ステータスページは午後3時5分にインシデントを解決済みとした。報道は、停止から約1時間後に取引が再開したと伝えている。
午後2時5分 ET
注文取消しのみのモード(Polymarket)
約1時間
大きな障害(ステータスページ、UTC 18:05〜19:05)
約219万〜271万ドル
報道・分析会社が追跡した額(公式ではない)
記載なし
影響を受けた利用者の数
公表されている事実
サービス
Polymarket.comの国際版。報道は米国版は影響を受けなかったと伝えている。Polymarketの発表が挙げているのは国際版のみ
Polymarketの説明
第三者の提供元が侵害された。問題を特定して修正した。法執行機関に通報した。影響を受けた利用者に補償する
報道が伝えること(Polymarketの発表ではない)
提供元はウェブサイトの性能を測る監視サービスで、そのスクリプトがPolymarketのページで動いていた。伝えられている挙動:ログイン中の利用者の口座に対して、ポジションの売却、または攻撃者が指定したアドレスへのポジショントークンの移転を行った。調査会社は、パスワード・復元用フレーズ・秘密鍵を集めるコードは見つからなかったとしている
金額
Polymarketは公表していない。報道と分析会社は、疑われるウォレットまで約219万〜271万ドルを追跡。下限の数字は調査会社が1つのウォレットの保有額として出したもので、SecurityWeekは検証済みの集計ではないとしている。ある分析会社の見方(SecurityWeekの報道)では、アドレス数は被害者数と同じではない
提供元の対応
報道によれば、提供元はセキュリティインシデントを認め、顧客にスクリプトを外すよう案内した

分かっていること・分かっていないこと

2026年10月31日時点の状態です。

項目発表・報道の内容状態
第三者の提供元が侵害されたPolymarketのステータスページ(10月29日)確定(Polymarket)
取引の停止と再開午後2時37分 ETに停止、午後3時5分 ETに解決済み確定(Polymarket)
法執行機関への通報ステータスページに記載確定(Polymarket)
利用者への補償「影響を受けた利用者に補償する」確定(Polymarket)、詳細は記載なし
提供元の種類ウェブサイトの性能を測る監視サービス報道(2社)
スクリプトの挙動ログイン中の利用者の保有分の売却・移転報道(調査会社の分析)
金額約219万〜271万ドルを追跡報道の推計、公式の数字なし
影響を受けた利用者の数記載なし記載なし
提供元がどう侵害されたか記載なし調査中(報道)
パスワードや復元用フレーズの流出調査会社は送信するコードを見つけていない第三者の調査結果、Polymarketは確認していない

ログイン中のページで第三者スクリプトが危険になる理由

サイトが外部サービスから読み込むスクリプトは、サイト自身のコードと同じ権限で動きます。一般に、利用者がログインしているページでは、そのようなスクリプトは利用者の見ている内容を見ることができ、利用者がすでに持っているセッションで操作できます。外部の提供元が侵害されると、サイト自身のサーバーが破られていなくても、利用者に影響が及ぶのはこのためです。これは一般的な理由の説明で、今回の件についての追加の事実ではありません。

公開情報から目につく点が2つあります。影響を受けた提供元のスクリプトは監視用で、多くのサイトが性能データのために入れ、全ページで動くものだったこと。そして、報道によれば、最初の不審な取引の約10分後の時刻の本番ビルドで組み込みが外されており、サイト側がスクリプトを切れれば、影響が早く止まることです。

サイト運営者向け:公開情報から言える3つの確認

Polymarketは原因を公表していないため、この節は同社の対策を評価しません。上の事実だけを使います。

1

ログイン中の利用者がいるページで動く外部スクリプトをすべて書き出す

分析、監視、チャット、タグ管理を含めます。それぞれについて、誰のものか、なぜ入れているか、誰が止められるかを書きます。特に送金や設定変更をするページでは、不要なものを外してください。今でも意味のあるセキュリティヘッダーも参照してください。

2

外部スクリプトにできることを制限する

コンテンツセキュリティポリシーで、スクリプトの読み込み元とデータの送信先を制限できます。サブリソース完全性(SRI)は、固定のファイルとして配る場合には役立ちますが、提供元が正規にファイルを変えたときには効きません。そのため、最もリスクの高いページでは、確認したスクリプトを自社ドメインから配るか、読み込まないことを検討してください。

3

セッションだけで高額な操作を許可しない

売却、出金、送金先の変更には、署名の確認、2段階認証、通知つきの待ち時間などの再確認を求めます。既存のセッションを使うだけのスクリプトが、黙って完了できなくなります。

当サイトの見方:最初の対応の速さが結果を分ける

報道によれば、最初の不審な取引の約10分後の時刻の本番ビルドで、組み込みが外されました。外部スクリプトをすぐ止められる手順を文書にしておくこと、異常な取引パターンを知らせる警報を持つことが、長いインシデントを短くします。

第三者の提供元のスクリプトが侵害された

↓

ログイン中のページで、どの外部スクリプトが動いているか

スクリプトがログイン中のセッションを通じて操作した(報道)

↓

高額な操作に再確認を求めているか

約10分後のビルドで組み込みを外した(報道)

↓

外部スクリプトをすぐ止められるか

公開情報の事実と、運営者が確認できること(一般的な対応づけ)

出典(公開情報)

  • Polymarket ステータスページ "Polymarket exchange disruption"(2026年10月29日、英語)— status.polymarket.com
  • BleepingComputer "Polymarket halts trading after crypto-draining script breach, $2.5M traced"(2026年10月、英語)— bleepingcomputer.com
  • SecurityWeek "$2 million drained from Polymarket traders in new supply chain attack"(2026年10月30日、英語)— securityweek.com

提供元の種類、スクリプトの挙動、金額は報道にもとづき、上でそのように示しています。報道は同社の声明も引いていますが、公式の文言はステータスページを根拠にしています。

更新履歴

2026-10-31:初版。Polymarketのステータスページと報道2件にもとづく。損失額、補償の手続き、原因が公表されたら更新します。

次に読む

最新の速報

速報の一覧 →

よくある質問

QPolymarketで何が起きたのですか?
A

Polymarketのステータスページによれば、2026年10月29日、国際版は米東部時間午後2時5分に注文取消しのみのモードになりました。午後2時37分に、問題を特定して修正したこと、第三者の提供元が侵害されたこと、法執行機関に通報したこと、影響を受けた人は損失を埋め合わせる(made whole)こと、念のため取引を一時停止したことが示されました。

Qいくら盗まれたのですか?
A

Polymarketは金額を公表していません。報道は、攻撃者のものと疑われるウォレットまで追跡できた金額を、報道機関や手法により約219万〜271万ドルとしています。これらは外部の推計で、公式の合計ではありません。

Q影響を受けた利用者は返金されますか?
A

Polymarketのステータスページは、影響を受けた利用者に補償するとしており、影響を受けた人は損失を埋め合わせる(made whole)とも書いています。方法や時期、影響を受けた利用者の数は示されていません。

Qパスワードや復元用フレーズも盗まれましたか?
A

Polymarketは、取引や移転以外に何が取られた・取られていないかを示していません。報道が引くセキュリティ調査会社は、パスワード、復元用フレーズ、秘密鍵などを攻撃者へ送るコードは見つからなかったとしています(スクリプトは主にログイン中のセッションの権限を使ったと伝えられています)。これは第三者の調査結果で、Polymarketの発表ではありません。復元用フレーズは、理由が何であれ誰にも教えないでください。

Q補償を名目にした連絡が来たらどうすればよいですか?
A

予期しない連絡は詐欺の可能性があるものとして扱ってください。Polymarketは請求の手続きを発表していません。メール、ダイレクトメッセージ、SNSの返信のリンクは開かず、受け取りのためにウォレットを接続したり署名したりせず、公式サイトとステータスページは自分でアドレスを入力して確認してください。

Qサイト運営者は何を確認すればよいですか?
A

これは当サイトの一般的な助言で、Polymarketの案内ではありません。利用者がログインしているページで読み込む第三者スクリプトをすべて書き出し、不要なものは外し、整合性の確認、コンテンツセキュリティポリシー、高額な操作に再確認を求める仕組みを検討してください。