対象:SonicWallのGen7・Gen8のファイアウォール(TZ、NSa、NSsp、NSv)でSSL-VPNを使っている組織。特にSSL-VPNのログインをSAMLと多要素認証で守っている場合と、その運用を受けている事業者。本記事はSonicWallのセキュリティ勧告SNWLID-2026-0014、NVD、米CISAのKEV一覧にもとづく解説で、攻撃の手順や攻撃コードは載せません。
続報待ち:この記事は公式発表に合わせて更新します
- 対象者
SonicWallのGen7・Gen8のファイアウォール(TZ、NSa、NSsp、NSv)でSSL-VPNを使っている組織。特にSSL-VPNのログインをSAMLと多要素認証で守っている場合と、その運用を受けている事業者。
- 影響が確認された範囲表で見る ↓
- 対象の版と修正版
- 条件:SSL-VPNのログインにSAMLを有効
- SAMLで求める多要素認証の回避
さらに2件
- 悪用が確認された一覧への登録
- 回避策
可能性があるとされた項目
- 悪用
- 未確認事項
- 攻撃や侵害を受けた機器の数
- SonicWallが調べた悪用の報告が確定したか
- 回避に使われる「別の認証方式」の詳しい範囲
- 今やること手順を見る ↓
- Gen7・Gen8のファイアウォールとSonicOSの版を洗い出す
- 修正版へ上げる
- SSL-VPNのログインにSAMLを使っているか確かめる
さらに2件
- SAMLを通らずにSSL-VPNへログインできるアカウントを見直す
- 最近のSSL-VPNのログインを確かめる
- 確認先(出典)出典の一覧 ↓
- SonicWall PSIRT「SonicWall SonicOS Affected By Multiple Vulnerabilities」(SNWLID-2026-0014、版1.0、2026年11月6日)
- 最終確認日時
- 2026年11月7日16:00(日本時間)時点
発表の続報予定と確認の記録
SonicWallの勧告(版1.0、11月6日)とKEVへの登録は公開済みです。11月7日に、勧告、NVD(状態はUndergoing Analysis)、米CISAのKEVのフィード(版2026.11.06)を確認しました。
今日やること
Gen7・Gen8のファイアウォールとSonicOSの版を洗い出す
ESX、KVM、Hyper-V、AWS、Azureで動かしている仮想のNSvや、予備機・検証機も含め、すべてのファイアウォールのSonicOSの版を控えます。SonicWallの勧告では、7.3.3-7015以前のGen7と8.2.2-8015以前のGen8が対象です。
修正版へ上げる
Gen7(TZ、NSa、NSsp、NSv)は7.3.4-7013以降、Gen8(TZ、NSa、NSv)は8.2.3-8015以降へ。SonicWallは回避策を示していないので、更新が対策です。先に設定のバックアップを取り、すべての通信が通る機器なので再起動の時間を決めておきます。
SSL-VPNのログインにSAMLを使っているか確かめる
SonicWallは、CVE-2026-19868はSSL-VPNのログインにSAMLを有効にしている場合だけ影響するとしています。有効なら、多要素認証を回避される対象です。無効ならこのCVEの対象ではありませんが、同じ勧告に同じ版を対象とするCVEがほかに6件あるので、更新は必要です。
SAMLを通らずにSSL-VPNへログインできるアカウントを見直す
SonicWallは、回避には別の認証方式の正しい認証情報が使われると説明しています。当サイトとしての一般的な対策(SonicWallの案内ではなく、更新の代わりにもなりません)として、ローカルの利用者やディレクトリなど、ほかの方式でSSL-VPNにログインできるアカウントを洗い出し、不要なものを消し、使い回しや漏えいのおそれがあるパスワードを変えます。
最近のSSL-VPNのログインを確かめる
当サイトとしての確認として、最近のSSL-VPNのログインを、ふだんの使われ方と比べます。SAMLの認証基盤(IdP)を通っていないログイン、見覚えのない場所からのログイン、SAMLだけで使うはずのアカウントのログインなどです。説明できないものがあれば、そのアカウントは乗っ取られた前提で認証情報を変え、SonicWallのサポートに連絡します。
公表された内容
- 製品
- SonicWall SonicOS。SonicWallのGen7・Gen8のファイアウォールのOS。そのSSL-VPNの機能
- 種類
- 認証の強制の不備。別の認証方式の正しい認証情報で、SAMLの仕組みとSAMLで求める多要素認証を回避されるおそれ(CWE-308、単一要素の認証の使用)
- 条件
- SSL-VPNのログインにSAMLを有効にしている場合だけ(SonicWall)
- 深刻度
- CVSS v3.1で7.1(SonicWall)。NVDに載る米CISAの評価は7.5
- 対象
- Gen7は7.3.3-7015以前、Gen8は8.2.2-8015以前
- 修正版
- Gen7は7.3.4-7013以降、Gen8は8.2.3-8015以降
- 回避策
- なし(SonicWall)
- 悪用
- SonicWallのセキュリティチームが、悪用の可能性を示す報告を調査
- KEV
- 2026年11月6日に追加、期限は11月20日。米CISAのフォレンジック確認の対象には指定されていない
1. 版を洗い出す
Gen7・Gen8。仮想のNSvも
2. 更新する
7.3.4-7013/8.2.3-8015以降
3. VPNのログインを確かめる
SAML以外のアカウントと最近のログイン
対象の機種と修正版
| 機種(SonicWallの勧告より) | 対象 | 修正版 |
|---|---|---|
| Gen7の機器:TZ 270〜TZ 670、NSa 2700〜NSa 6700、NSsp 10700〜NSsp 15700 | 7.3.3-7015以前 | 7.3.4-7013以降 |
| Gen7のNSv:NSv 270、470、870(ESX、KVM、Hyper-V、AWS、Azure) | 7.3.3-7015以前 | 7.3.4-7013以降 |
| Gen8の機器:TZ 80〜TZ 680、NSa 2800〜NSa 5800 | 8.2.2-8015以前 | 8.2.3-8015以降 |
| Gen8のNSv:NSv XS、S、M、L(ESX、KVM、Hyper-V、AWS、Azure) | 8.2.2-8015以前 | 8.2.3-8015以降 |
勧告に載っているのはGen7とGen8だけです。それより前の世代については何も書かれていません。
同じ勧告にあるほかの6件のCVE
SonicWallの勧告SNWLID-2026-0014には合わせて7件のCVEが載っており、どれも同じ版で修正されています。KEVに載っているのはCVE-2026-19868だけです。
| CVE | SonicWallの説明 | CVSS v3.1(SonicWall) |
|---|---|---|
| CVE-2026-107155 | 管理画面のクロスドメインの許可が広すぎる不備。特定の条件で、認証されていない遠隔の攻撃者が許可されていない操作をできるおそれ | 8.8 |
| CVE-2026-107154 | 管理画面のセッションの検証の不備。影響は同じ | 8.8 |
| CVE-2026-82308 | SSL-VPNのログイン前のヒープバッファオーバーフロー。サービスを止められるおそれ | 7.5 |
| CVE-2026-77708 / CVE-2026-77709 | TACACS+の認証の機能のログイン前のバッファオーバーフロー。サービスを止められるおそれ | 各5.9 |
| CVE-2026-19703 | 仮想アプライアンスのパスワードのハッシュ化が弱い不備。すでに機器内に入れる攻撃者が、基盤の認証情報を得られるおそれ | 5.2 |
時系列
2026年11月6日(UTC)
SonicWallが7件のCVEをまとめた勧告SNWLID-2026-0014(版1.0)と修正版を公開。NVDにCVEの記録が載る。11月6日
米CISAがCVE-2026-19868をKEVに追加し、期限を11月20日とする。11月7日
勧告の改訂はなし。NVDの状態はUndergoing Analysis。11月20日
米国の連邦機関に対するKEVの期限。
分かっていること・分かっていないこと
| 項目 | 出典の内容 | 状態 |
|---|---|---|
| 対象の版と修正版 | Gen7は7.3.3-7015まで、Gen8は8.2.2-8015まで。7.3.4-7013と8.2.3-8015で修正 | 確定(SonicWall) |
| 条件:SSL-VPNのログインにSAMLを有効 | 勧告に明記 | 確定(SonicWall) |
| SAMLで求める多要素認証の回避 | 勧告とKEVの登録に明記 | 確定(SonicWall) |
| 悪用 | SonicWallが悪用の可能性を示す報告を調査 | 可能性(SonicWall) |
| 悪用が確認された一覧への登録 | 11月6日にKEVに追加 | 悪用を確認(米CISA) |
| 回避策 | なし | 確定(SonicWall) |
| 攻撃を受けた機器の数 | 公表なし | 記載なし |
| 「別の認証方式」の詳しい範囲 | 公表なし | 記載なし |
SAMLによる多要素認証が要になる理由
SSL-VPNの前にSAMLを置き、すべてのログインを自社の認証基盤と多要素認証に通している組織は多くあります。そうしておけば、盗まれたパスワードだけでは入れないはずです。対象の版では、この前提が崩れます。SonicWallによると、別の認証方式の正しい認証情報があれば、SAMLと多要素認証を回避されるおそれがあります。
そのため、気にするべきアカウントが変わります。SAMLの利用者だけでなく、ほかの方式でSSL-VPNにログインできるすべてのアカウントです。導入のときに作って消し忘れたものも含みます。過去に漏れたパスワードや、ほかで使い回したパスワードが、VPNで再び使えるようになりえます。当サイトが更新に加えてアカウントの見直しを勧めるのはこのためです。
点数もリスクより低く出ています。SonicWallの評価は7.1で、低い権限のアカウントが要る前提です。CVSSの順に並べると後回しになりやすいですが、KEVへの登録とSonicWall自身の警告からは、最優先で直すべきものです(どのCVEから直すか)。
出典
2026年11月7日(日本時間)に確認。
- SonicWall PSIRT「SonicWall SonicOS Affected By Multiple Vulnerabilities」(SNWLID-2026-0014、版1.0、2026年11月6日) — psirt.global.sonicwall.com
- NVD「CVE-2026-19868」 — nvd.nist.gov
- 米CISA「Known Exploited Vulnerabilities Catalog」(2026年11月6日に追加) — cisa.gov
更新履歴
2026-11-07:初版。SonicWallの勧告、NVD、米CISAのKEV一覧にもとづく。
次に読む
- 外部に出ている機器の守り方:VPN機器とリモートアクセスの守り方
- 多要素認証の選び方:多要素認証(MFA)の選び方
- 10月の悪用事例:悪用が確認された境界機器の脆弱性まとめ(2026年10月中旬)
- 優先順位の決め方:CVEの直す順番の決め方(CVSS・EPSS・KEV)
- 用語:二要素認証とは / CVSSとは