対象:ヤクルト本社の公式サイトのお問い合わせフォーム、給食サイト「たのしい給食」、報道関係者向けのお問い合わせフォームを使ったことがある人。本記事は株式会社ヤクルト本社の公式発表にもとづく解説で、攻撃手順は扱いません。
続報待ち:この記事は公式発表に合わせて更新します
2026年10月31日時点まだ分かっていないこと
- 対象件数の内訳
- 対象期間
- 原因・侵入の経路
- 対象者への個別連絡の方法と時期
- 本件専用の問い合わせ窓口
- 公式サイトの再開時期
同社は、対象件数および対象期間などの詳細は順次知らせるとし、対象となるお客さまには準備が整い次第連絡するとしています。本件専用の問い合わせ窓口を準備しており、当面はヤクルトお客さま相談センターで受け付けるとしています。
対象の人が今日やること
ヤクルトを名乗る電話・メール・SMSのリンクや添付ファイルを開かない
漏えいした項目には、氏名、住所、電話番号、メールアドレスが含まれます。これらがそろうと、宛名も連絡先も合っている、本物らしい連絡が作れます。
同社は「懸賞の当選」「配送の連絡」「返金の案内」といった名目の不審な連絡に注意するよう呼びかけ、身に覚えのない連絡のリンクや添付ファイルは開かないよう案内しています。確認は、連絡に書かれたURLではなく、自分で開いた公式サイトや公式の窓口で行ってください(見分け方は フィッシングとは)。
問い合わせに書いた内容を、知られている前提で考える
メールお問い合わせフォームの対象者は、問い合わせ内容も漏えいの対象に含まれます。商品や体調、注文、苦情など、書いた内容によっては、それを知っている相手の連絡が本物らしく見えます。
問い合わせた覚えのある話題を持ち出す連絡が来ても、それだけでは同社からの連絡である証拠になりません。個別の連絡は、リンクを開かずに公式の窓口へ確認します。
「たのしい給食」の会員は、同じパスワードを使ったサービスを変える
給食サイトの会員は、登録パスワードが暗号化された状態で漏えいの対象に含まれます。暗号化されているため、そのまま読まれるわけではありません。それでも、短いパスワードやよく使われるパスワードは、変換された情報から元の文字列を推測されることがあります(仕組みは パスワードハッシュとは)。
会員登録のパスワードを他のサービスでも使っているなら、そちらを先に変えます。棚卸しは パスワードマネージャー に任せるのが現実的で、変更後は 多要素認証 も有効にしておくと安全です。使い回しの確認は パスワード漏えいの確認方法 が使えます。
報道関係者向けフォームを使った人は、勤務先宛ての偽の連絡にも注意する
報道関係者向けフォームの対象者は、氏名、職業、媒体名、会社名・組織名、会社の住所、電話番号、メールアドレス、問い合わせ内容が漏えいの対象です。媒体や会社の名義で来る、取材依頼や資料送付を装った添付ファイル付きのメールには、開く前に差出人を別の手段で確かめます。
パスワード、口座番号、カード番号は誰にも伝えない
同社は、同社からパスワードや口座番号、クレジットカード番号をお尋ねすることはないとしています。また、公式サイトではクレジットカード情報と銀行口座情報を預かっていないとしています。そのため、これらを求められた時点で偽物と考えてください。
問い合わせは、同社が案内している窓口へ
同社の発表は、お客さま向けに、本件専用の問い合わせ窓口を準備しており、当面はヤクルトお客さま相談センター(0120-11-8960、10〜16時、土日・祝日を除く)で受け付けるとしています。届いた連絡に書かれた電話番号やメールアドレスではなく、同社の発表に載っている窓口を使ってください。
何が起きたのか(ヤクルト本社の発表より)
同社は2026年10月26日19時に第1報、10月30日9時に第2報を公表しました。以下はすべて同社の発表にもとづきます。
2026年10月26日(月)
公式サイトで不正アクセスを確認。被害拡大を防ぐため、公式サイトの機能を停止した。19時の第1報では、お客さまの情報への影響は調査中とした。10月30日(金)9時
第2報。調査の結果、公式サイトを通じて提供されたお客さまの個人情報が外部に漏えいしたことを確認したと公表。現時点で約4万件。個人情報保護委員会への第一報と警察への相談を行っている。今後(同社の予定)
対象件数・対象期間などの詳細は順次知らせる。対象のお客さまには準備が整い次第連絡する。
- (1) メールお問い合わせフォームの利用者
- 氏名、性別、年齢層、住所、電話番号、メールアドレス、お問い合わせ内容
- (2) 給食サイト「たのしい給食」の会員
- 氏名、業態、勤務先、所属部署または受託会社、勤務先住所、勤務先電話番号、メールアドレス、登録パスワード(暗号化されたパスワード)、知ったきっかけ(任意)、興味がある商品(任意)、登録理由(任意)
- (3) 報道関係者向けフォームの利用者
- 氏名、職業、メディア種類、媒体名、会社名・組織名、部署名(任意)、役職名(任意)、会社住所、電話番号、メールアドレス、お問い合わせ内容
- (4) 上記(1)と(3)に対応した同社の社員
- 氏名
- 預かっていない情報
- 公式サイトでは、クレジットカード情報および銀行口座情報を預かっていない
- 対応
- 被害拡大を防ぐため公式サイトの機能を停止。詳細な調査を進めるとともに、個人情報保護委員会へ第一報を行い、警察に相談している
- 件数
- 現時点で約4万件。対象件数と対象期間などの詳細は順次知らせる
分かっていること・分かっていないこと
2026年10月31日時点の状態です。続報が出たら、この表の状態欄を書き換えます。
| 項目 | 発表の内容 | 状態 |
|---|---|---|
| 不正アクセス | 2026年10月26日に確認し、サイトの機能を停止 | 確定(同社) |
| 個人情報の漏えい | 約4万件が外部に漏えいしたことを確認(現時点) | 漏えいを確認(同社) |
| 問い合わせフォームの利用者の項目 | 氏名・性別・年齢層・住所・電話番号・メールアドレス・問い合わせ内容 | 漏えいを確認(同社) |
| 「たのしい給食」の会員の項目 | 氏名・業態・勤務先・勤務先の住所と電話番号・メールアドレス・暗号化されたパスワードなど | 漏えいを確認(同社) |
| 報道関係者向けフォームの利用者の項目 | 氏名・職業・媒体名・会社名・会社住所・電話番号・メールアドレス・問い合わせ内容など | 漏えいを確認(同社) |
| 対応した同社の社員 | 氏名 | 漏えいを確認(同社) |
| クレジットカード情報・銀行口座情報 | 公式サイトでは預かっていない | 含まれない(同社) |
| 件数の内訳・対象期間 | 順次知らせる | 調査中 |
| 原因・侵入の経路 | 発表に書かれていない | 記載なし |
| 不正利用・二次被害の有無 | 発表に書かれていない | 記載なし |
| 対象者への個別連絡 | 準備が整い次第連絡する | 予定(同社) |
| 公式サイトの再開 | 10月26日から機能を停止。再開の時期は書かれていない | 未定 |
読み方の注意:約4万件は「現時点」の数字で、確定した最終件数ではない
同社は「現時点で約4万件」と書き、対象件数と対象期間の詳細は順次知らせるとしています。件数は4つの対象者の区分ごとの内訳が出ておらず、人数でもなく「件」の数です。
件数が変わる可能性があるため、数字だけで自分が対象かを判断しないでください。問い合わせフォームや「たのしい給食」を使った覚えがあれば、対象の可能性があるものとして上の行動を進めます。
漏れた項目の組み合わせで何が起きうるか
次は、一般にこの項目の組み合わせで起きうることです。今回の件で実際に起きたという意味ではありません。
- 氏名+住所+電話番号+メールアドレス:宛名も連絡先も合っている偽のメール・SMS・電話・郵便物が作れます。「懸賞の当選」「配送の連絡」「返金の案内」は同社が名指しで注意している名目です。
- 問い合わせの内容:書いた話題を知っている相手からの連絡は、本物らしく見えます。体調や家族の事情のような機微な内容を書いていた場合は、その内容を使った連絡を特に疑ってください。
- 勤務先の情報(給食サイトの会員・報道関係者):勤務先の名義を使った、業務連絡や取材依頼を装う連絡が作れます。個人宛ての詐欺と違い、会社のメールアドレスに届くため、社内でも共有しておくと被害を防ぎやすくなります。
- 暗号化されたパスワード:そのまま読まれるものではありませんが、弱いパスワードは推測されることがあります。同じパスワードを使い回していなければ、他のサービスへの影響は小さくなります。
氏名+住所+電話番号+メールアドレス
↓→
宛名も連絡先も合っている偽の連絡
→ リンクや添付ファイルを開かない/公式サイトで確認
暗号化されたパスワード(たのしい給食の会員)
↓→
弱いパスワードは推測されうる
→ 同じパスワードを使った他のサービスを変更
発表で預かっていないとされたもの
- クレジットカード情報
- 銀行口座情報
漏えいを確認したとされたもの(区分により異なる)
- 氏名・住所・電話番号・メールアドレス
- 問い合わせの内容
- 勤務先・会社名・媒体名・役職(区分による)
- 暗号化された登録パスワード(たのしい給食の会員)
運営者が見直すこと
原因は公表されていないため、ここでは公表された内容から言えることだけを挙げます。
フォームで受け取った内容を、いつまで・どこに置くかを決める
今回の対象には、問い合わせフォームの内容と、会員の登録情報が含まれます。問い合わせは、対応が終わったあとも公開サイトに近い場所に残っていると、一度の事故で影響が広がります。
対応が終わったものは期限を決めて消す、または個人を特定できる項目を外して保存する、といった運用を決めておきます。同じ公式サイトの中に会員機能と問い合わせフォームが同居している場合は、それぞれの保管の場所と期限を分けて考えます。
停止を決めた手順を、再開の条件とあわせて点検する
同社は不正アクセスを確認した当日に、公式サイトの機能を停止しています。当サイトの見方では、被害の拡大を防ぐ点で有効な判断です。停止した場合に、お客さまの問い合わせをどこで受けるか(今回は既存の相談センター)と、再開の条件を、あらかじめ決めておくと混乱を減らせます。
出典
- 株式会社ヤクルト本社「当社ホームページへの不正アクセスによる個人情報漏えいに関するお詫びとお知らせ【第2報】」(2026年10月30日 9:00)、「当社ホームページへの不正アクセスの発生について【第1報】」(2026年10月26日 19:00) — yakult.co.jp(現在はメンテナンス表示として公開)
- 報道:ASCII.jp、日本経済新聞
更新履歴
2026-10-31:初版。ヤクルト本社の10月30日の第2報にもとづく。同社は対象件数・対象期間などを順次知らせるとしています。公表されたら本記事を更新します。
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