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オンラインの本人確認がICチップ読み取りに変わる(2027年4月):書類画像の廃止で変わることと、利用者・事業者の準備

銀行口座の開設などのオンライン本人確認で、免許証の画像を送る方法(ホ方式)が2027年4月1日に原則廃止され、ICチップの読み取りやマイナンバーカードの電子証明書に変わります。いつ何が変わるか、なぜか、必要な暗証番号と準備、事業者がやることを公式情報で整理します。

公開日 2026-10-12 更新日 2026-10-12 最終確認 2026-10-12 20分で読める

対象:銀行口座の開設や携帯電話の契約などで、オンラインの本人確認(eKYC)を受ける人と、本人確認書類を受け取るサービスを運営している人。本記事は、警察庁・金融庁・総務省・デジタル庁などの公式情報にもとづく解説です。すでに免許証の画像が漏れた人がやることは 運転免許証の情報が漏れたら:悪用を防ぐためにやること にまとめています。

いつ、何が変わるか

本人確認の方法を法律で決めている代表的な分野は二つです。銀行口座の開設やクレジットカードの契約などに適用される犯罪収益移転防止法と、携帯電話の契約です。どちらも、書類の画像や写しを使う方法をやめ、ICチップの読み取りを基本にする方向で、時期だけが違います。

手続き今(2026年10月)変更後
銀行口座の開設など(犯罪収益移転防止法の対象・オンライン)書類と顔の撮影画像を送る方法、書類の写しを郵送する方法、ICチップ読み取り、マイナンバーカードの電子証明書などから事業者が選ぶ2027年4月1日から、書類の画像や写しを使う方法は原則廃止。ICチップ情報の読み取りと電子証明書が中心
銀行口座の開設など(窓口)写真付きの本人確認書類を見せる2027年4月1日から、原則として書類を見せたうえでICチップ情報を読み取らせる
携帯電話の契約(オンライン)2026年4月1日から、ICチップの読み取りが原則必須(書類写真のアップロードは原則廃止済み)―
携帯電話の契約(店頭)書類を見せる2027年4月以降、ICチップの読み取りが原則必須
法律で方法が決められていない手続き(会員登録・年齢確認・シェアサービスの登録など)書類の画像を受け付けるサービスが多い法律による一律の変更はない。事業者ごとの判断

警察庁の周知用チラシは、各金融機関の判断で2027年4月1日より前に先行して始める場合があるとしています。金融庁も金融機関に、施行日を待たずに移るよう求めているので、銀行によっては施行日より早く画像の方法が使えなくなります。

「ホ方式」は書類と顔を撮影して送る方法の通称

「ホ方式」は、現行の犯罪収益移転防止法施行規則第6条第1項第1号ホに定められた方法の通称です。事業者が用意したアプリなどで、写真付きの本人確認書類と本人の顔を撮影して送ります。2027年4月1日の施行で廃止され、写しを郵送する方法(同号リ)なども原則として使えなくなります。

改正後の規則では記号が付け直されるため、改正前の「ホ」「ワ」と改正後の同じ記号は、同じ方法を指すとは限りません。事業者の案内を読むときは、記号ではなく「何を送るのか」(画像か、ICチップの情報か、電子証明書か)で確かめてください。

なぜ画像ではだめなのか

書類の画像は、撮影された時点で、書類そのものから切り離されたデータになります。コピーしても劣化せず、何度でも、誰からでも送れます。偽造した書類を撮影した画像や、他人の書類の画像と区別するには、画像に写った書類の厚みや、顔の写真との照合などに頼るしかありません。

警察庁のQ&Aは、今回の改正の目的を、本人確認書類の偽造・変造などによる、なりすましのリスクが高い方法の廃止と説明しています。ICチップには氏名・住所・生年月日・顔写真などが記録されており、警察庁のQ&Aは、事業者に読み取った情報が本物であることの確認を求めています。読み取るにはカードの実物を手元に置き、暗証番号を入力する必要があります。

書類の画像を送る方法

  • 送るもの:書類と顔を撮影した画像
  • 必要なもの:スマホのカメラ
  • 偽造の見分け:画像の見た目で判断
  • 画像が漏れたら:同じ画像を他人が使える

ICチップを読み取る方法

  • 送るもの:ICチップに記録された情報
  • 必要なもの:カードの実物、暗証番号、NFC対応スマホ
  • 偽造の見分け:記録された情報が本物か検証できる
  • 画像が漏れても:それだけでは読み取りができない
書類の画像は、漏れたあとも他人が送れる。ICチップの読み取りは、カードの実物と暗証番号がないと成り立たない。

2026年には、本人確認書類の情報を預かる事業者からの漏えいが続き、画像を含むものも起きました。タイムズカーの事案では、運営会社の発表によると約160万件のアカウントで運転免許証などの書類画像が漏れています(タイムズカーの不正アクセス)。画像は漏れていないものの、本人確認書類の種別と番号が漏れたおそれがある事案もあります(らしんばん)。

金融庁は2026年10月9日の注意喚起で、運転免許証などの本人確認書類の画像情報を含む顧客情報の漏えいが発生していることを挙げました。そのうえで金融機関に、非対面の本人確認で書類や顔の画像に不自然な点がないか確認を徹底すること、ICチップ情報の読み取りへの移行を「施行日を待たず、可及的速やかな対応を図る」ことを求めています。

当サイトの見方:漏えいの被害を小さくするのは、画像を集めないこと

画像を受け付ける本人確認が残る限り、どこかで漏れた画像は、別のサービスでの申込に使われるおそれがあります。漏れた側の会社がどれだけ謝っても、画像は取り消せません。

ICチップの読み取りに移ると、事業者が預かる画像そのものが減り、仮に漏れても、それだけでは次の本人確認を通れなくなります。利用者にとっては暗証番号を覚えておく手間が増えますが、その手間がなりすましを止める部分です。

利用者が求められること

ICチップを読み取る本人確認では、多くの場合、事業者のアプリの指示に従って、スマホの背面にカードを重ねて読み取らせます。サービスによっては、顔の撮影を組み合わせます。

使う書類と、必要な暗証番号
運転免許証
交付や更新のときに自分で決めた4桁の数字2組(暗証番号1・2)。警察庁のチラシは、ICチップの読み取りに2つとも入力が必要としている。3回続けて間違えると読み取れなくなる
マイナンバーカード(署名用電子証明書)
英数字6〜16文字のパスワード。5回続けて間違えるとロックされる(デジタル庁)
マイナンバーカード(利用者証明用電子証明書)
4桁の数字。3回続けて間違えるとロックされる(デジタル庁)
マイナンバーカードで使う暗証番号
方法によって、上の2つのどちらか、または別の暗証番号を使う。アプリの表示に従う
スマホのマイナンバーカード
カードの機能をスマホに入れたもの。iPhoneは2025年6月24日から提供(デジタル庁)。対応しているサービスでは、カードをかざさずに本人確認できる

電子証明書を使う方法(公的個人認証)は、カードの電子証明書で電子署名をして、本人であることを証明する仕組みです。民間の事業者がこれを使うには、国の認定を受けた事業者になるか、認定を受けた事業者のサービスを使う必要があります(デジタル庁・総務省のガイドライン)。

今のうちに準備すること

1

運転免許証の暗証番号2つを確認する

免許証の交付のときに渡された暗証番号の控えがあれば、場所を確認しておきます。覚えていない場合は、免許証を持って警察署や運転免許センターなどで照会できます。

警視庁や長野県警は、電話では照会に応じないとしており、長野県警は代理人による照会や解除もできないとしています。受付の場所と時間は都道府県ごとに違うので、住所地の都道府県警察のページで確認してください。暗証番号は、警視庁によれば次の免許証の交付まで変更できません。

2

マイナンバーカードの暗証番号を確認する

署名用電子証明書のパスワード(英数字6〜16文字)と、利用者証明用電子証明書の暗証番号(数字4桁)を確認します。忘れたりロックされたりした場合、片方が分かっていれば、専用アプリで予約したうえでコンビニのキオスク端末でもう片方を初期化・再設定できます(公的個人認証サービス ポータルサイト)。

両方とも分からない場合や、電子証明書の有効期限が切れている場合は、マイナンバーカードを持って住民票のある市区町村の窓口で手続きします。

3

スマホがNFCに対応しているか確認する

ICチップの読み取りには、NFC(近くのICカードと通信する機能)に対応したスマホが必要です。使う予定のサービスのアプリで、対応機種の一覧を確認してください。NFCに対応していない場合は、窓口での手続きや、ICカードリーダーを使う方法などを選べるか、サービスの案内を確認します。

4

ICチップ付きの書類がない場合の方法を確認する

総務省は携帯電話の契約について、ICチップ付きの書類を持っていなくても手続きができなくなるわけではなく、住民票の写しなどを使う方法があると案内しています。犯罪収益移転防止法でも、ICチップ付きの書類を持たない人などのために、偽造を防ぐ措置がとられた一定の書類の原本を送る方法が残されています(警察庁のQ&A)。

旅券(パスポート)は、オンラインでは使えない場合がある

2020年2月4日以降に発行された旅券には住所の記載欄がなく、ICチップにも住所が記録されていません。警察庁のQ&Aは、このような旅券は、住所の書かれた別の書類があっても、ICチップ情報を送るオンラインの確認方法には使えないとしています。運転免許証かマイナンバーカード、在留カードなどを用意してください。

この変更を口実にした詐欺に注意

制度が変わる時期には、「本人確認の方法が変わったので手続きが必要です」という連絡を装ったフィッシングが届きやすくなります。漏えいした企業や銀行を名乗る連絡は、氏名や取引の内容が正しく書かれていても、本物の証拠にはなりません(フィッシングとは)。

本物の手続きの特徴

  • 自分で開いた公式アプリや公式サイトの中で完結する
  • 暗証番号は、自分のスマホの画面に自分で入力する
  • 施行前に作った口座の確認し直しを、法律が一律に求めてはいない(警察庁Q&A)

応じてはいけない連絡

  • メールやSMSのリンクから「再認証」の画面に誘導する
  • 暗証番号やパスワードを、電話・メール・チャットで聞く
  • カードの両面の写真や、カードそのものを送るよう求める

ICチップの読み取りに使う暗証番号は、他人に伝えると、その人がカードを手にしたときに読み取りができてしまいます。誰かに聞かれても答えないでください。

事業者がやること

本人確認書類の画像を集めているサービスは、犯罪収益移転防止法の対象かどうかにかかわらず、漏えいしたときの影響が大きくなります。2026年秋の漏えいの続き方を踏まえると、施行日まで待つ理由は小さいと考えます。

1

ICチップの読み取りか電子証明書への切り替えを前倒しする

犯罪収益移転防止法の対象事業者は、2027年4月1日以降、書類の画像を送る方法を原則使えません。金融庁は金融機関に、施行日を待たない移行を求めています。法律の対象外のサービス(シェアサービスや会員制サービスなど)も、画像を受け付ける限り、漏れた画像による登録を防ぎにくくなります。

2

集めた画像を必要な期間だけ残し、それ以外は消す

犯罪収益移転防止法の対象事業者は、確認記録を、取引の契約が終了した日から7年間保存する必要があります(警察庁「犯罪収益移転防止法の概要」)。法律で保存が求められていない画像は、個人情報保護法第22条にもとづき、利用する必要がなくなったら遅滞なく消すよう努めます。退会した人や、申込が完了しなかった人の画像が残っていないかも確認します。

3

残す画像は、日常の業務から切り離して守る

書類の画像は、会員管理や注文処理で日常的に読む必要のない情報です。別の保管場所と別の権限に分け、管理画面へのログインには多要素認証をかけ、誰がいつ見たかの記録を残します。点検の進め方は 不正アクセスの注意喚起(2026年10月):今週やる点検 にまとめています。

4

利用者への案内を先に出す

暗証番号の確認方法、NFC非対応のスマホやICチップ付き書類がない人の代わりの方法、自社がメールやSMSで暗証番号を聞かないことを、切り替えの前に公式サイトで案内します。便乗したフィッシングと見分けやすくなります。

出典(公開情報)

本記事の制度・日付は、2026年10月12日に以下の公式情報で確認しました。

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よくある質問

Qなぜ本人確認で免許証を撮影する方法がなくなるのですか?
A

書類の画像は、偽造した書類を撮影したものや、他人の書類を撮影したものと見分けにくく、なりすましに使われやすいからです。警察庁のQ&Aは、今回の改正を「本人確認書類の偽変造等によるなりすまし等のリスクの高い方法の廃止等」と説明しています。金融庁も2026年10月9日、不正アクセスが相次ぎ、運転免許証などの画像を含む顧客情報の漏えいも起きている状況を踏まえ、ICチップ情報の読み取りを「不正対策として極めて効果が高い」としています。

Qいつから変わりますか?
A

銀行口座の開設など犯罪収益移転防止法の対象となる取引は、2027年4月1日から変わります(2025年6月24日公布の施行規則改正)。金融機関の判断で、それより前に始める場合があります。携帯電話の契約は、オンラインが2026年4月1日にすでにICチップの読み取りが原則必須になっており、店頭は2027年4月以降です。

Q「ホ方式」とは何ですか?
A

現行の犯罪収益移転防止法施行規則第6条第1項第1号ホに定められた方法の通称で、事業者が提供するアプリなどで、写真付きの本人確認書類と本人の顔(容貌)を撮影して送る方法です。2027年4月1日の施行で廃止されます。改正後の規則では記号が付け直されるため、「ホ」などの記号は改正前と後で同じ方法を指さないことがあります。

Q運転免許証のICチップを読み取るとき、どの暗証番号が必要ですか?
A

免許証の交付や更新のときに自分で決めた、4桁の数字2組(暗証番号1・2)です。警察庁のチラシは、ICチップを読み取らせるには2つの暗証番号の入力が必要としています。3回続けて間違えるとICチップが読み取れなくなります。忘れたときや読み取れなくなったときは、免許証を持って警察署や運転免許センターなどで照会や解除の手続きをします。警視庁や長野県警のように電話や代理人では受け付けていないところがあるので、住所地の都道府県警察のページで場所と時間を確認してください。

QスマホにNFCがない、またはICチップ付きの書類を持っていない場合はどうなりますか?
A

手続きができなくなるわけではありません。総務省は携帯電話の契約について、ICチップ付きの書類がない場合でも住民票の写しなどを使う方法があると案内しています。犯罪収益移転防止法でも、ICチップ付きの書類を持たない人などのために、偽造を防ぐ措置がとられた一定の書類の原本を送る方法が残されています。窓口(対面)での手続きを選べるサービスもあります。どの方法を用意するかは事業者ごとに異なるので、利用するサービスの案内を確認してください。

Q「本人確認のやり直しが必要です」というメールが届きました。応じるべきですか?
A

メールやSMSのリンクからは手続きしないでください。警察庁のQ&Aは、施行前に廃止される方法で本人確認をして開設された口座について、施行後に別の方法で確認し直すことを求めるものではないとしています。金融機関が独自の判断で確認を求めることはありますが、その場合も、自分で公式アプリや公式サイトを開いて確かめてください。暗証番号を電話やメールで伝えたり、カードの写真を送ったりする必要はありません。