対象:中古アニメグッズ店「らしんばん」で品物を売った(買取を利用した)人・通販で買い物をした人と、中古品の買取を行う事業者。本記事は同社の公式発表にもとづく解説で、攻撃や詐欺の手順は扱いません。
買取を使った人が今日やること
自分が対象かを確かめる
同社は、漏えいの可能性がある人に個別の案内を順次送っているとしています。対象となる情報は、利用したサービスや利用状況によって異なります。
案内がまだ届いていない人や、自分のどの情報が対象か知りたい人は、同社の公式サイトのお知らせから「個人情報に関する専用お問い合わせフォーム」を開いて問い合わせてください(対応時間は平日10時〜18時)。メールやSMSで届いたリンクからではなく、自分で公式サイトを開いてたどるのが安全です。
LINE・PayPayへの誘導や、同社を名乗る連絡に応じない
同社は、同社や第三者を装ったメール・SMS・郵便・電話が届く可能性があるとして、記載されたURLを開いたり、個人情報を入力・回答したりしないよう呼びかけています。
とくに同社は、メールからLINEやPayPayに誘導して登録を促すことはないとしています。そうしたメールはURLをクリックせず削除してください(見分け方は フィッシングとは)。
口座情報が漏れた人は、明細を確認し、暗証番号やログイン情報を誰にも伝えない
口座番号と名義は、振込を受けるために相手に伝える情報でもあり、それだけで口座からお金を引き出すことはできません。引き出しや送金には、キャッシュカードと暗証番号、インターネットバンキングのログイン情報や認証コードなどが必要です。
注意したいのは、口座情報を知っていることを材料に、銀行・同社・警察などを名乗って「口座が悪用されている」「返金の手続きが必要」と連絡してくる場合です。暗証番号、ログイン情報、ワンタイムパスワード(1回限りの認証コード)は、電話やメールで答えないでください。
あわせて、通帳やアプリで身に覚えのない入出金や引き落としがないかを確認し、見つけたらすぐに取引のある銀行へ連絡します。
本人確認書類の番号が漏れた人は、信用情報機関への本人申告を検討する
漏えいの可能性があるのは、本人確認書類の「種別と番号等」の情報です。発表では画像ではなく番号の情報とされていますが、氏名・住所・生年月日と組み合わさると、なりすましの申し込みに使われるおそれがあります。
備えとして、信用情報機関(CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センター)への本人申告を検討してください。登録すると、ローンやクレジットカードの審査で加盟会社がその情報を見て、より慎重に審査します。手順と、自分の信用情報を開示して確かめる方法は タイムズカーの不正アクセスで会員がやること にまとめています。
カードの再発行とパスワードの変更は、発表の上では必須ではない
同社は、クレジットカード情報とパスワードは漏えいしていないとしています。そのため、この件だけを理由にカードの再発行やパスワードの変更を急ぐ必要はありません。
ただし、偽のメールに誘われてカード番号やパスワードを入力してしまった場合は別です。カードはカード会社へ連絡し、パスワードはすぐに変えてください。同じパスワードを他のサービスでも使っているなら、この機会に分けておくと安心です(パスワードマネージャーの選び方)。
お金を払った・情報を入力したときは、すぐ相談する
不審な連絡に応じてお金を送った、口座やカードの情報を入力した、という場合は、まず取引のある銀行やカード会社に連絡してください。
あわせて、警察相談専用電話(#9110)や消費者ホットライン(188)にも相談できます。早く連絡するほど、止められる可能性が高くなります。
何が起きたか(らしんばんの発表から)
株式会社らしんばんは2026年10月1日、公式サイトに「【重要】不正アクセスによる個人情報漏えい可能性に関するお知らせとお詫び」と、関連するQ&Aを掲載しました。以下はすべて同社の発表内容です。
2026年9月14日〜16日
同社が運営するサービスに対する不正アクセスの対象期間。検知後にシステムの改修とセキュリティの確認を行い、この期間以降に不正アクセスは発生していないとしている。判明後
不正アクセスを遮断し、原因と影響範囲の調査、再発防止に向けた対応を開始。警察に相談し、個人情報保護委員会に報告。10月1日
公式サイトで公表し、専用の問い合わせフォームを設置。漏えいの可能性がある人への個別の案内を順次進めているとしている。
- 基本情報
- 氏名(フリガナを含む)、郵便番号、住所、メールアドレス、電話番号、生年月日、性別、職業、会員番号
- 本人確認
- 本人確認書類の種別と番号等の情報。マイナンバー(個人番号)は同社では取得していないとしている
- 口座
- 買取申込み時に入力された銀行名・支店・口座番号・名義
- 画像
- 買取にかかわる同意書の画像(どの書類で、何が写っているかの説明は発表にない)
- 取引
- 買取明細(品名・数量・単価)、買取金額、注文内容(品名・数量・価格)、注文金額、決済方法、配送先氏名・配送希望日時・伝票番号、付与ポイント数
- 漏えいなし
- クレジットカード情報、パスワード
- 件数
- 公表されていない。対象となる情報は利用したサービスや利用状況によって異なる
- 原因
- 公表されていない
- 報告
- 警察に相談、個人情報保護委員会に報告済み
- 問い合わせ
- 公式サイトの「個人情報に関する専用お問い合わせフォーム」(平日10時〜18時)
同意書の画像について、発表に書かれていないこと
発表は「買取にかかわる同意書画像」とだけ記載しており、どの書類の画像か、署名や住所などのどの項目が写っているかは説明していません。
同社の買取案内では、18歳未満の人と高校生以下の学生には保護者同意書の提出を求めています。子どもが買取を利用したことがある家庭で、保護者の情報が含まれているか気になる場合は、専用お問い合わせフォームで確かめてください。
通信買取の受付停止は別の理由
同社は10月1日、通信買取(品物を送って売る方式)の新規申し込みを一時停止すると別に告知しました。同社の説明では、提携する佐川急便の集荷サービス「回収くん」が受付を停止しているためで、この不正アクセスとは別のお知らせです。佐川急便側の事案は ヤマト運輸・佐川急便の不正アクセス にまとめています。
なぜ買取の利用者の情報は重いのか
中古品の買取を行う古物商には、古物営業法で本人確認が義務づけられています。第15条は、品物を買い取るときに相手の住所・氏名・職業・年齢を確認するよう定めています。
対価の総額が1万円未満の取引は原則として確認が不要です。ただし、ゲームソフト、CD・DVD・ブルーレイなどの記録媒体、書籍などは、金額にかかわらず確認が必要です(古物営業法施行規則第16条)。アニメグッズの買取では、こうした品目も多く扱われます。
つまり多くの買取の利用者は、店を信用したから情報を預けたというより、法律の手続きとして本人確認書類を提示していました。通販の会員登録と違い、「情報を預けない」という選択がしにくかった人たちです。
漏れた情報で起こり得ること
- 口座情報や買取の内容を書いて、本物らしく見せた電話・メール
- 「返金」「口座確認」を名目に、暗証番号やログイン情報を聞き出す連絡
- 氏名・住所・生年月日・書類の番号を使った、なりすましの申し込み
漏れた情報だけではできないこと
- 口座番号と名義だけで、口座からお金を引き出すこと
- カード情報・パスワードを使った不正利用(漏えいなしとされている)
- マイナンバー(個人番号)の悪用(同社は取得していないとしている)
買取の品名や金額、伝票番号まで漏えいの可能性があるため、偽の連絡にも本当の取引内容を書けます。内容が合っていることは、本物の証拠になりません。同社のQ&Aは、知らない番号やアドレスからの連絡がこの件と直接関係があるかは把握できないとしたうえで、不審な連絡には返答しないよう呼びかけています。
まだ分かっていないこと
件数、原因、本人確認書類の番号が漏れた人の範囲、同意書の画像の内容は、10月3日時点で公表されていません。同社は調査を続け、新たに知らせるべき事実が分かれば案内するとしています。続報が出たら、この記事を更新します。
中古品の買取を行う事業者へ
同社の原因は公表されていないため、ここでは同じ種類の情報を預かる事業者が一般に見直せる点に絞ります。
法律で保存が必要な記録と、その期間を分けて把握する
古物営業法第16条は、取引の年月日、品目と数量、特徴、相手方の住所・氏名・職業・年齢、とった確認の方法を帳簿等に記録するよう求め、第18条はその帳簿等を最終の記載をした日から3年間保存するよう定めています。
まず、自社が持っている項目を「法律で保存が必要なもの」と「業務の都合で持っているもの」に分けます。法律で必要な記録は期間が来たら消し、それ以外は振込が終わった時点など、もっと短い期限を決めて自動で消す仕組みにします。
振込先の口座情報を、振込が終わった後も持ち続けるか決める
買取代金の振込先は、振込のために必要な情報です。次回の申し込みを楽にするために保存する場合も、利用者が保存するかどうかを選べるようにし、選ばなかった人の口座情報は振込の完了後に消すことを検討します。
本人確認の記録を、注文や会員のシステムとは別の場所に置く
本人確認書類の番号や同意書の画像は、通販の注文処理や会員ページから日常的に読む必要のない情報です。会員・注文のシステムが破られても一緒に持ち出されないように、別の保管場所と別の権限に分け、管理用のログインには多要素認証をかけます(多要素認証の選び方)。
本人確認書類を預かるサービスの見直し方は タイムズカーの記事の運営者向けの節 も参考にしてください。
出典(公開記録)
本記事の事実関係は、以下の公開情報にもとづきます。公表されていない件数や原因は推測していません。
- 株式会社らしんばん「【重要】不正アクセスによる個人情報漏えい可能性に関するお知らせとお詫び」(2026年10月1日) — lashinbang.com
- 株式会社らしんばん「不正アクセスおよび個人情報漏えいの可能性に関するQ&A」(2026年10月1日) — lashinbang.com
- 株式会社らしんばん「【重要】通信買取におけるお品物集荷手配の一時停止について」(2026年10月1日) — lashinbang.com
- 株式会社らしんばん「保護者同意書」(買取案内) — lashinbang.com
- ITmedia NEWS「中古アニメグッズ『らしんばん』に不正アクセス 口座情報や本人確認書類の番号など漏えいの恐れ」(2026年10月1日) — itmedia.co.jp
- 古物営業法 第15条・第16条・第18条 — e-Gov法令検索
- 古物営業法施行規則 第16条(確認等の義務を免除する古物等) — e-Gov法令検索
更新履歴
2026-10-03:初版。らしんばんの10月1日の発表とQ&Aにもとづく。件数・原因の続報が出たら更新します。
次に読む
- 免許証の情報が漏れたときの対策:運転免許証の情報が漏れたら:悪用を防ぐためにやること
- 本人確認書類が漏れたとき:タイムズカーの不正アクセス(信用情報機関への本人申告)
- 便乗詐欺への備え:フィッシングとは / 偽のウイルス警告(サポート詐欺)
- 2026年9〜10月の国内の事案:ヤマト運輸・佐川急便(宅配の送り主・届け先) / アバハウス(注文情報と偽の返金メール)
- 2026年の他の事案:情報漏えい・サイバー攻撃の一覧(国内・海外)
よくある質問
Qらしんばんの不正アクセスで何が漏れたのですか?
株式会社らしんばんの2026年10月1日の発表によれば、漏えいの可能性があるのは、氏名(フリガナを含む)、郵便番号、住所、メールアドレス、電話番号、生年月日、性別、職業、本人確認書類の種別と番号等の情報、会員番号、買取明細(品名・数量・単価)、買取金額、買取申込み時に入力された銀行名・支店・口座番号・名義、注文内容(品名・数量・価格)、注文金額、決済方法、配送先氏名・配送希望日時・伝票番号、付与ポイント数、買取にかかわる同意書の画像です。対象となる情報は、利用したサービスや利用状況によって異なるとしています。
Qクレジットカードやパスワードは漏れましたか?
同社は、クレジットカード情報とパスワードの漏えいはないと発表しています。また、本人確認書類のマイナンバー(個人番号)は同社では取得していないとしています。
Q何件漏れたのですか?
2026年10月3日時点で、件数は公表されていません。
Q自分が対象かどうかはどう確かめればいいですか?
同社は漏えいの可能性がある人に個別の案内を順次送っているとしています。案内がまだ届いていない人や、自分が対象か確かめたい人は、同社の公式サイトのお知らせから開ける「個人情報に関する専用お問い合わせフォーム」で問い合わせられます(対応時間は平日10時〜18時)。
Q口座番号が漏れると、お金を引き出されますか?
口座番号と名義は、振込を受けるために相手に伝える情報でもあり、それだけで口座からお金を引き出すことはできません。引き出しや送金には、キャッシュカードと暗証番号、インターネットバンキングのログイン情報や認証コードなどが必要です。注意したいのは、口座情報を知っていることを材料に、銀行や同社を名乗って暗証番号やログイン情報を聞き出そうとする連絡です。こうした情報を電話やメールで答えないでください。
QらしんばんからLINEやPayPayに誘導するメールが届きました。
同社は、メールからLINEやPayPayに誘導して登録を促すことはないとしています。そのようなメールのURLはクリックせず、削除するよう案内しています。
Qなぜ買取で本人確認書類が必要だったのですか?
古物営業法第15条は、古物商が品物を買い取るとき、相手の住所・氏名・職業・年齢を確認することを義務づけています。対価の総額が1万円未満の取引は原則として不要ですが、ゲームソフト、CD・DVD・ブルーレイなどの記録媒体、書籍などは金額にかかわらず確認が必要です(古物営業法施行規則第16条)。そのため、買取を利用した人の多くは本人確認書類を提示する必要がありました。