対象:2026年3月以降に、東南アジアのTrezor元認定販売店で買ったTrezorを持つ人と、メーカー以外の販売店でハードウェアウォレットを買おうとしている人。本記事はTrezorの公式のお知らせにもとづく解説で、そのような部品の作り方などは扱いません。
続報待ち:この記事は公式発表に合わせて更新します
2026年10月31日時点まだ分かっていないこと
- インプラントが実在するか(同社は現物を未確認)
- 端末がどの段階でどう改ざんされたか
- 影響を受けた端末の数
- 実際に資産が盗まれた例の有無
- 他の販売店・地域への広がり
同社は、他の販売店や地域に関する報告があればお客様に知らせるとしています。現物の調査結果の時期は示していません。
所有者が今日やること
自分の端末をどこで買ったかを確かめる
同社の案内は、Safe 5に限らず、その元販売店から2026年3月以降に買ったTrezorの全モデルが対象です。販売店がオンラインのマーケットプレイスに持つ店舗で買った場合も含みます。注文履歴を確認してください。Trezorの公式ストアや他の認定販売店で買った人が対象だとは、お知らせには書かれていません。
未設定なら、設定しない
同社は、対象の端末は設定せず、既存のリカバリーフレーズも入力しないよう案内しています。そのままにして、Trezorのサポートに連絡してください。
使用中なら、新しい端末で新しいリカバリーフレーズを作り、資金を移す
同社は、新しい端末で新しいリカバリーフレーズのウォレットを作り、できるだけ早く資金を移すよう案内しています。古いリカバリーフレーズを別の端末で使っても、露出した可能性があるのはそのフレーズ自体なので解決しません。ほかに安全なハードウェアウォレットがすぐ用意できない場合、同社は、信頼できるソフトウェアウォレットや取引所を一時的に使う手もあるとしています。
送金前には、受取アドレスの先頭と末尾だけでなく、全体を確認してください。
重さを量る・開けるなど、自分で調べない
報告者は重さの違いに気づいたとされますが、同社は、重さは信頼できる確認方法ではなく、家庭で確実に調べる方法はないとしています。端末は手元に残し、購入の証明を添えてTrezorのサポートに連絡してください。
交換またはバウチャーはTrezorのサポート経由で受ける
同社は、その販売店から2026年3月以降に買った人は、Trezorから直接送る交換品か、新しい端末に使えるバウチャーを受けられるとしています。連絡はTrezorの公式サイトから始め、元の端末は手元に残してください。
何が起きたのか(Trezorのお知らせより)
以下はすべて、2026年10月30日のTrezorのお知らせにもとづき、同社の発表として書いています。
2026年3月
同社が対象とする期間の始まり。元販売店からこの時期以降に買った端末が対象。2026年8月
報告によれば、報告された Safe 5 は、オンラインのマーケットプレイス経由で元販売店から購入された。2026年10月9日
同社は販売店との取引を終了し、顧客の端末の調査を始めた。認定販売店の数も絞っているとしている。2026年10月28日
同社のセキュリティチームが、写真付きの責任ある開示の報告を受領。報告者とビデオ通話で話した。2026年10月30日
同社がお知らせを公表。現物は未受領。
分かっていること・分かっていないこと
2026年10月31日時点の状態です。同社が続報を出したら、この表の状態欄を書き換えます。
| 項目 | 同社の発表の内容 | 状態 |
|---|---|---|
| 報告を受けたこと | 10月28日に写真付きで受領、報告者とビデオ通話。同社は信頼できる報告として扱っている | 確定(同社) |
| 携帯回線モジュールとアンテナ付きの追加基板 | 報告の説明:メイン基板と画面の間にある | 報告のみ(未確認) |
| 基板の働き | 報告によれば、画面に表示される内容(ウォレットのバックアップ=リカバリーフレーズを含む)を読み取り、端末をつないだときに携帯回線で送る | 報告のみ(未確認) |
| 端末の現物 | 同社はまだ受け取っていない | 調査中 |
| 盗まれた資産 | 報告なし、顧客の損失の証拠なし。報告者は基板に気づく前に資金を移していた | 報告なし(同社) |
| 対象の端末 | 元販売店から2026年3月以降に買ったTrezorの全モデル(マーケットプレイス上の店舗を含む) | 案内の対象(同社) |
| 他の販売店・地域 | 報告なし | 報告なし(同社) |
| 重さによる確認 | 有効な確認方法ではない | 確定(同社) |
| 供給網のどこで改ざんされたか | 記載なし | 記載なし |
| 影響を受けた端末の数 | 1件の報告のほかは記載なし | 記載なし |
読み方の注意:「未確認」は「安全」という意味ではない
同社は現物を調べていないため、報告者の説明以上のことは誰も言えません。同社は10月9日に販売店との取引を終え、報告を信頼できるものとして扱っています。この案内は、ある一つの流通経路の端末への予防措置であり、Trezorの端末全般や特定の関係者の行為について述べたものではありません。
元販売店から2026年3月以降に購入・未設定
↓→
設定しない
→ Trezorサポートに連絡
同・すでに使用中
↓→
新しい端末+新しいリカバリーフレーズ
→ 資金を移す。古いフレーズは使い回さない
販売店経由で買ったハードウェアウォレットが特別な理由
ハードウェアウォレットの価値は、リカバリーフレーズが端末の中で作られ、端末の中に保たれることにあります。手元に届く前に端末自体が改ざんされていたなら、その後どれだけ注意深く使っても、フレーズを作る時点で露出しえます。同社が資金を移すだけでなく、端末とフレーズの両方を替えるよう案内しているのはそのためです。
次は本件に限らない一般的な心がけです。
- ハードウェアウォレットは、メーカーの公式ストアか、メーカーの公式サイトが挙げる認定販売店で買う
- リカバリーフレーズは端末自身に作らせ、箱に印刷・記入済みで入っていたフレーズは使わない
- リカバリーフレーズはオフラインで保管し、パソコンやスマホに入力しない(保管の考え方は バックアップと復旧の基本)
出典
- Trezor Team「Implant reported in a Trezor sold by〔元認定販売店〕」(2026年10月30日) — trezor.io
- BleepingComputer の報道(2026年10月30日)を参考にしました
更新履歴
2026-10-31:初版。Trezorの10月30日のお知らせにもとづく。同社は現物を受け取っておらず、調査結果や新しい案内が出たら本記事を更新します。
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